高校化学の教科書は、湿った気体を乾燥させる時に用いる
「気体の乾燥剤」について、その情報が探しにくいと思います。
濃硫酸や、十酸化四リン等、吸湿作用のある物質それぞれの情報は
掲載されているものの、無機物質の単元で同じ元素を含む物質を
区切って紹介しているため、乾燥剤の種類や使い方を一度に整頓し、
理解できるまとめ方になっていないのです。
そこで今回は、複数ある気体の乾燥剤を、
センター試験によく出るものに絞ってまとめてみようと思います。
まず、気体を乾燥するというイメージですが、
「湿った気体」とは、ある気体が水蒸気(H
2Oの気体)を含んだ状態、
つまり水蒸気との混合気体となっているということです。
それを乾燥させるということは
乾燥剤の中を通過させ、水蒸気だけを乾燥剤に捕まえてもらって
目的の気体だけを素通りさせて、それを捕集する。という事です。
ただし、乾燥剤には「酸性乾燥剤」、「中性乾燥剤」、「塩基性乾燥剤」、と
種類があります。また、乾燥させたい気体の方にも、「酸性の気体」や
「中性の気体」、「塩基性の気体」があります。
そのため、乾燥させたい気体とその乾燥剤の組み合わせを間違うと、
目的の気体が乾燥剤と反応してしまい、うまく素通りできずに、
水蒸気とともに乾燥剤に捕まってしまう事があるのです。
よって、どの気体をどの乾燥剤で乾燥させるべきかを判断するには、
気体自身が酸性、塩基性、中性、どの性質なのか、
乾燥剤が、酸性乾燥剤、中性乾燥剤、塩基性乾燥剤のいずれなのかを
どちらも暗記しておく必要があるということです。
まずは、覚えておきたい気体の情報です。
酸性の気体:HCl,Cl
2,NO
2,SO
2,CO
2,H
2S・・・6種。
塩基性の気体:NH
3・・・1種
中性の気体:・・・上記以外のすべての気体
(このまとめ方は、かなり大雑把ですが、センター試験への対策としては、これくらいで良いです。)
次に、乾燥剤の情報です。
まず覚えるべきは以下の8種の乾燥剤です。
酸性乾燥剤:濃硫酸H
2SO
4(液),十酸化四リンP
4O
10(固),シリカゲルSiO
2(固)・・・3種
中性乾燥剤:塩化カルシウムCaCl
2(固)・・・1種
塩基性乾燥剤:水酸化ナトリウムNaOH(固),水酸化カリウムKOH(固),
生石灰CaO(固),ソーダ石灰(NaOH(固)とCaO(固)の混合物)・・・4種
それでは、その利用方法について。
「酸性乾燥剤」は、酸性もしくは中性の気体を乾燥させるために用います。
塩基性の気体を乾燥させようとしても、中和反応を起こしてしまうのでNGです。
ただし、酸性の気体の中で硫化水素H
2Sだけは、濃硫酸以外の酸性乾燥剤を
用いて乾燥させます。その理由は硫化水素が還元剤、
濃硫酸が酸化剤として働き、酸化還元反応を起こしてしまうためです。
「中性乾燥剤」として紹介したCaCl
2は、中性であるので、酸性、中性、塩基性、
どの気体も反応せずに素通りさせ、水蒸気のみを吸収できそうなものですが、
アンモニアNH3とは特殊な反応(付加反応)を起こしてしまいます。
よってアンモニア以外の気体の乾燥に用います。
「塩基性乾燥剤」は、塩基性もしくは中性の気体を乾燥させるために用います。
もし、酸性の気体に利用すると、中和反応を起こしてしまうのでNGです。
・・・以上、センター試験で用いる気体の乾燥剤の知識です。
今回出てきた気体と、乾燥剤とが、しっかり頭に入れば
色々な問題に対応できると思います。
それでは今回はこの辺で。頑張れ受験生!