加えた物質が減る方向に平衡は移動したのに、 もとの状態より物質は増えているってどういうこと?

ミーケン。

2018年09月29日 16:31

ある可逆反応が平衡状態にあるとき、
濃度・温度・圧力などの条件を変化させると
その影響を緩和する方向に平衡が移動する。

そう、上記はルシャトリエの原理(平行移動の原理)です。

化学平衡の移動に関する問題は色々ありますが、
生徒からの質問が多いのが、以下に紹介する問題文です。



◇ 以下の文章中の(  )に「増加」または「減少」の
  どちらか適当な語句を記入しなさい。

          A + B ⇔ C

上記の可逆反応が平衡状態になっている容器内に
物質Aを加えると、物質Aが( ① )する方向に平衡が移動し、
しばらくして新たな平衡状態に達する。
この時、もとの平衡状態に比べ、
容器内の物質Aの濃度は( ② )している。

 

さて、どうでしょう。
どちらの(  )にも
「減少」という言葉を当てはめてしまった人はいませんか?

答えは ①が「減少」、 ②が「増加」です。


平衡状態中に物質Aが加えられると、ルシャトリエの原理どおり
増えてしまった物質Aが減少する方向、つまり右へと平衡が移動します。   

ここで物質Aが「減少する方向」という言葉が勘違いを生みます。

あくまで右(正反応)・左(逆反応)の方向を指しての言葉ですが、
物質Aが減ったのだから加える前よりも少なくなったのだ、
と勘違いが起こるのです。

加えられた物質Aが減少していき、新しい平衡状態に到達したところで
物質Aはそれ以上減らなくなります。
あくまで「加えられた分」の中の、いくらかが減少して
新しい平衡状態に達したという事であって、
もとの平衡状態に存在した物質Aに比べると、
新しい平衡状態ではいくらか増加しているのです。

この辺は文章が読みにくくなるところなので丁寧に読んでみてくださいね。

それでは今回はこのくらいで。
頑張れ受験生!