多糖類はフェーリング液を還元しない

ミーケン。

2020年07月14日 17:55

コロナ禍で、ついついブログが後回しになっていました。
久しぶりの更新です。

今回は、多糖類も還元性を示すのでは?
と質問をしてくれた生徒たちへの解答です。

高校化学の教科書では、
一般の単糖類や二糖類は水溶液中で開環し、還元性を示すため
フェーリング反応陽性である。
しかし、デンプンやセルロースなどの多糖類は、開環して還元性を示す
部位(ヘミアセタール構造部分)のヒドロキシ基を
単糖同士が連なっていくグリコシド結合に使っているため、開環できずに
フェーリング反応を示さない・・・・・・と、学習します。

そのことを学習した上で、ある生徒から
「多糖類であっても、分子の末端に開環してアルデヒドとなる部分が
あるのに、どうして還元性を示さないの?」
という質問がありました。
素晴らしい質問だと思います。

これは還元性を示す部分の「濃度差」だと考えると、
理解しやすいと思います。

例えば、デンプンなどの多糖類は単糖というリングが多数連なった鎖だと
イメージしてみてください。
単糖類はリング1個、二糖類はリング2個が連結しているイメージです。
このリングには還元性を示す部位が1カ所あります。
それによって単糖類はフェーリング液を還元し、赤い色を呈するのです。
二糖類はというと、リングが2つ連なった構造であり、
そのつなぎ目の部分は一方のリングの還元性を示す部位と、
他方のそうではない部位とで連結されます。
よって連なった2つのリングの一方は還元性を示す部分を結合に使ってしまった
ために還元性を失いますが、もう一方には還元性を示す部位が残っているため、
やはり二糖類もフェーリング液を還元し、赤色を呈します。

しかし、多数のリングが次々と還元性を示す部位を使って連なっている多糖類では
その長い鎖の末端に、一か所だけしか還元性を示す部位は残されていません。

ここで、少し強引ですが、
同じ体積の二つのビーカーに、連なった鎖と、ばらけたリングが収まった状態を
イメージしてみてください。
ばらけたリングはその一つ一つに還元性を示す部位がある。
つまりリング(単糖類)が溶けている容器の中には、その分子と同じ数だけ
還元作用を示す部位があるということです。
しかし連なったリング(多糖類)の場合、分子の末端一カ所にしか
その部位はないのです。
溶液中の還元性を示す部位の数(濃度)の差は歴然です。
よって多糖類だとフェーリング液の色の変化を人間の目がとらえきれず、
単糖類や二糖類が溶けている溶液だと色の変化を確認できるというわけです。

ちなみに水溶液中では還元性を示す単糖や二糖も、
結晶状態では開環しないので還元性を示す部位が働けず、還元性を示さないです。

また、スクロースやトレハロースなどの二糖類は単糖同士がそれぞれの
還元性を示す部位で結合した形なので、水溶液中でも還元性を示さないですよ。

それでは今回はこの辺で。
がんばれ!受験生!












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