2013年01月14日
カルシウムや鉛は不動態にならないのになぜ・・・
今回もセンター試験ですぐに役立つ知識の紹介。
まずは金属のイオン化傾向をおさらい。
K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,(H),Cu,Hg,Ag,Pt,Au
上記に書いた金属は左側ほどイオン化しやすく、
右へ行くほどイオン化し難い。
水素Hよりもイオン化傾向の大きい金属はすべて
一般に酸と反応して溶解し、水素ガスを発生する。
理由は、酸の溶液中には必ず水素イオンがあり、
それよりもイオン化傾向が大きい金属単体が接すると、
電子の授受が起こるため。
つまりイオン化傾向の大きい方金属単体が、
小さい水素イオンへと電子を与えて自身はイオン化し、
水素イオンは電子を受け取ると単体となるのである。
しかし、水素よりもイオン化傾向の大きい金属でも
ある種類の酸とは反応しない金属単体もあります。
まずは、Al,Fe,Ni の3種。
この3つは濃硫酸または濃硝酸とは金属表面に
安定な酸化被膜が形成されてしまい、
内部を保護する形になってしまいます。
そのため Al,Fe,Ni は濃硫酸・濃硝酸には溶解しません。
このような酸化被膜を生成して安定化した状態を不動態といいます。
不動態をつくる金属は他にもありますが、
センター試験ではこの3つを覚えるだけで十分です。
ただし、この3つの金属も濃塩酸や希硫酸など、
その他の酸には一般の金属と同じように反応して溶け、
水素を発生するので注意してください。
次に、Ca,Ba, Pb の3種について。
( Ba はイオン化傾向の列には入れていない人が多いですが、
アルカリ土類金属なのでCaと類似した性質です。)
この3つはそれぞれある酸とは反応後の塩が電離しにくい沈殿となり、
その沈殿が金属表面を覆ってしまうため反応しなくなります。
まず、Ca と Ba ですが、
硫酸とはそれぞれ硫酸カルシウムや硫酸バリウム、
炭酸とは炭酸カルシウムや炭酸バリウムという
水に溶けにくい沈殿を生成し、
金属表面を覆ってしまうため反応しづらいということ。
また、Pb の方は、
硫酸とは硫酸鉛、塩酸とは塩化鉛という
やはり水に溶けにくい沈殿を生成するので
同じように反応しづらいのです。
不動態については頭に入っている生徒も
この Ca,Ba,Pb の3つについては
ついつい見落としがちなので、気をつけてくださいね。
ちなみに、
Cu,Ag などは水素よりもイオン化傾向が小さいので、
通常の酸とは反応しませんが、
酸化力の強い濃硫酸や濃硝酸、希硝酸などとは反応します。
その時は水素ガスではなく、
それぞれ二酸化硫黄や二酸化窒素、一酸化窒素を発生するので
注意してくださいね。
よかったら私のホームページ『宮城のつながる化学』ものぞいてみてください。
まずは金属のイオン化傾向をおさらい。
K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,(H),Cu,Hg,Ag,Pt,Au
上記に書いた金属は左側ほどイオン化しやすく、
右へ行くほどイオン化し難い。
水素Hよりもイオン化傾向の大きい金属はすべて
一般に酸と反応して溶解し、水素ガスを発生する。
理由は、酸の溶液中には必ず水素イオンがあり、
それよりもイオン化傾向が大きい金属単体が接すると、
電子の授受が起こるため。
つまりイオン化傾向の大きい方金属単体が、
小さい水素イオンへと電子を与えて自身はイオン化し、
水素イオンは電子を受け取ると単体となるのである。
しかし、水素よりもイオン化傾向の大きい金属でも
ある種類の酸とは反応しない金属単体もあります。
まずは、Al,Fe,Ni の3種。
この3つは濃硫酸または濃硝酸とは金属表面に
安定な酸化被膜が形成されてしまい、
内部を保護する形になってしまいます。
そのため Al,Fe,Ni は濃硫酸・濃硝酸には溶解しません。
このような酸化被膜を生成して安定化した状態を不動態といいます。
不動態をつくる金属は他にもありますが、
センター試験ではこの3つを覚えるだけで十分です。
ただし、この3つの金属も濃塩酸や希硫酸など、
その他の酸には一般の金属と同じように反応して溶け、
水素を発生するので注意してください。
次に、Ca,Ba, Pb の3種について。
( Ba はイオン化傾向の列には入れていない人が多いですが、
アルカリ土類金属なのでCaと類似した性質です。)
この3つはそれぞれある酸とは反応後の塩が電離しにくい沈殿となり、
その沈殿が金属表面を覆ってしまうため反応しなくなります。
まず、Ca と Ba ですが、
硫酸とはそれぞれ硫酸カルシウムや硫酸バリウム、
炭酸とは炭酸カルシウムや炭酸バリウムという
水に溶けにくい沈殿を生成し、
金属表面を覆ってしまうため反応しづらいということ。
また、Pb の方は、
硫酸とは硫酸鉛、塩酸とは塩化鉛という
やはり水に溶けにくい沈殿を生成するので
同じように反応しづらいのです。
不動態については頭に入っている生徒も
この Ca,Ba,Pb の3つについては
ついつい見落としがちなので、気をつけてくださいね。
ちなみに、
Cu,Ag などは水素よりもイオン化傾向が小さいので、
通常の酸とは反応しませんが、
酸化力の強い濃硫酸や濃硝酸、希硝酸などとは反応します。
その時は水素ガスではなく、
それぞれ二酸化硫黄や二酸化窒素、一酸化窒素を発生するので
注意してくださいね。
よかったら私のホームページ『宮城のつながる化学』ものぞいてみてください。
Posted by ミーケン。 at 22:21│Comments(2)
│受験
この記事へのコメント
Pbは希硫酸とは反応しないと思うのですが
Posted by h at 2019年11月08日 09:35
Pbは希硫酸と硫酸鉛という水に溶けにくい塩を生成するために反応しづらい・・・との文章が、
「反応しづらい、硫酸鉛が生成する、ってことは反応しているのではないか?」との疑問を引き起こしたのですね。
わかります!私も以前そう思ったことがあります。
ここでは希硫酸中に鉛を入れるとその表面は水素イオンとぶつかり、イオン化傾向の差の通り、鉛がイオン化して溶けだすのですが、その瞬間に液中の硫酸イオンと出会って硫酸鉛という水に溶けにくい物質を生じる。それが鉛の表面に付着して内部の鉛を水素イオンから隔離してしまう。よって反応が停止する・・・そんなイメージです。それらは一瞬の事ですから、鉛は硫酸に溶けない、と表現することもありますよ。
「反応しづらい、硫酸鉛が生成する、ってことは反応しているのではないか?」との疑問を引き起こしたのですね。
わかります!私も以前そう思ったことがあります。
ここでは希硫酸中に鉛を入れるとその表面は水素イオンとぶつかり、イオン化傾向の差の通り、鉛がイオン化して溶けだすのですが、その瞬間に液中の硫酸イオンと出会って硫酸鉛という水に溶けにくい物質を生じる。それが鉛の表面に付着して内部の鉛を水素イオンから隔離してしまう。よって反応が停止する・・・そんなイメージです。それらは一瞬の事ですから、鉛は硫酸に溶けない、と表現することもありますよ。
Posted by みーけん。 at 2019年11月08日 23:33