2017年06月25日

「ちょうど中和する(中和点にする)」と「中性にする」の違い

生徒たちからの質問が多い問題の一つに
「酢酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えていってちょうど中和すると
水溶液の液性は酸性・中性・塩基性のどちらになりますか。」
という類のものがあります。

この問題の答えは
「塩基性」
その理由は、
「中和反応の結果酢酸ナトリウムという塩ができ、それに含まれる
酢酸イオンが加水分解して水酸化物イオンを発生するため。」
です。

しかし、質問を持ってくる生徒の大半は、
酢酸イオンが加水分解を起こすこということも、
酢酸イオンが加水分解した後、水溶液が塩基性になることも、
十分に理解しているのです。

その生徒たちは口をそろえて、
「塩の加水分解によって発生する水酸化物イオンも含めて中和するので
中和点ではpH7、水溶液の液性は中性ではないの?」
と聞いてきます。

私も学生の頃、同じ疑問を持ったので、その気持ちがよくわかります。

この勘違いは今回のタイトルにもなっている
「中和する(中和点にする)」と「中性にする」の用語を
同じものとして、とらえてしまっているために起こります。

「ちょうど中和する(中和点にする)」とは、ようするに
準備した酸の中に含まれていた水素イオン(H+)と
加える塩基の中に含まれる水酸化物イオン(OH‐)の物質量を同じにする、
ということです。

ですから、中和点になった時点で発生している別の物質が起こす反応で
新たに生じるH+やOH‐までは考えに入れなくてよいということです。

中和滴定の実験はまさに中和点を見つけているのです。

一方、酸や塩基を加えていって溶液の液性をちょうどpH7にする、
という意味であれば
「ちょうど中性にする」、という用語を使えば良いということですね!

それでは今回はこの辺で。
暑い夏がやってきます。体調管理に気をつけて、頑張れ、受験生!「ちょうど中和する(中和点にする)」と「中性にする」の違い





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Posted by ミーケン。 at 11:49│Comments(0)受験
 
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