2015年06月30日

やっぱり前に進むしかない

今回は受験生、特に浪人生へ向けて、
私の浪人時代の話を書こうと思います。

現役の頃の私は、学校の成績はそこそこだったものの、
全国模試等の結果はそれはもう散々なものでした。
しかし周りの友達も似たようなものだったので、
模試はできないのが普通のことであり、
自分の通っている学校のほとんどの人が同じ実力なのだから、
センター試験もどうにかなるもんだ…と構えていました。

しかし現実はそうはいきません。
できる限りの努力もせずに奇跡など起こるはずはなく、
実力通り、私はあっさりと浪人が決まりました。
周りの友達も同じ結果でした。

ほとんどの友達は、沖縄では大手予備校が集まる
那覇の町で浪人時代を過ごすことを決め、移っていってしまいました。
自宅から地元の予備校へ通って浪人する友達は
いつも一緒にいたメンバーのうちでは私ともう1人の友達のみ。

彼とは「どんな環境でも最後は自身のやる気が問題。
地元でしっかりと学力を伸ばして1年後には合格しよう!」
と励まし合ったものです。

私は現在、予備校講師、彼は高校の教員になっています。
今でも連絡を取り合い、お互い立場は違えど、
教育や育児について刺激を受け合っています。

さて話を戻しましょう。

地元の予備校での1年間の浪人生活は、良い講師の方たちにも恵まれ、
辛さよりも理解がつながることへの面白さが大きく、
とても新鮮で有意義でした。
今思えば、あの1年間ひたすら勉強した日々は、
様々なところで私を支えてくれています。

それでも、もちろん悩んでいた時期もありました。

朝、父親の出勤に合わせて支度して、
予備校前で車から下ろしてもらうと自習室へと直行。
その後、9時半からの授業がスタートするまでの間は
復習に励み、午後の授業の終了する16時にはまた自習室に入ります。
その時間から夜自習室が閉まる22時までに、
その日の復習をすべての科目を終了させて、予備校での一日が終了。
その後、自宅に帰ったら深夜1時~2時頃まで曜日毎に科目を決めて、
これまでならったところまでの復習、そして就寝。
翌朝6時半に起床…、といった具合でした。

しかし当時は、過去最高の人数に達した受験生たちで
世の中はひしめき合っており、睡眠時間を4時間まで削ったら合格(当)、
5時間寝る奴は不合格(落)という、
「4当5落」なんて言葉が飛び交っていましたので、
とりあえず四捨五入して4時間の睡眠時間に収まるように
したものです。あはは。

まあ、今思えば頑張っていましたが、
周りにはすごい先輩方がひしめき合ったいたので、
6月くらいのまだ早い段階から焦っていたのを良く覚えています。
特に苦手な英語は何よりも時間を割いて頑張っていたのですが
なかなか伸びている実感がなく、
このままでいいのかという不安が常につきまといました。

夏期講習になるとさらに不安は大きくなりました。
夏休みに入った現役生との合同のクラスになったためです。
浪人しても、時間をかけて学習しても、なかなか伸びない自分が
恥ずかしく思えて、先が見えないような気持ちになったものです。

しかし、そんな私を立ち直らせてくれたキッカケは
いつも時間をかけて学習していた英語の長文と、
その予備校の校長で、数学と英語と小論文を担当する先生でした。

その先生は今の私の教え方の基礎になっている恩師です。
数学が専門なのですが、他の科目も色々と教えていました。
その先生の英語の授業で、とにかく英語が苦手な私は
ある長文を1ヵ月で10回和訳するという宿題を言いつけられました。
最初は何度も辞書を引いて直訳するも、書いた文章を読み返すと
自分で書いたのにまったく意味がわからないものになっていて、
突き返されていましたが、4回、5回と英文を読み進めて和訳するうちに、
だんだんと意味の通る、納得する日本語の文章になってきました。
10回目には直されるところはなくなっていて、
英語の学習で初めて褒められたことを覚えています。

またその先生は色々な話をしてくれましたが、
飾らないその言葉や振る舞いはとても新鮮で
多くの影響を受けました。
先生の話の一つに、調子のいい時と悪い時に読む本が
それぞれ1冊ずつある…。という話がありました。
確か先生は『白鯨』と『ドン=キホーテ』だったと記憶しています。
わたしもそれを真似て、当時からとても好きだったミヒャエル・エンデの
『はてしない物語』と『モモ』を自分を元気づける本と決めていました。
どちらも時間を見つけては少しずつ読み進め、何度も読んだものです。

さてそんなやりとりがあって、
夏期講習で現役生との合同授業に脅え悩んでいた私が、
立ち直るキッカケとなった事はと言えば、その英語の授業。
授業で長文を訳しているうちに、何だか自分が解答として書き出している
その日本語に読み覚えがあるという奇妙な経験をしたのです。
その場ではその原因が何だかわからなかったのですが、
家に帰って悩んでいた私が『モモ』を読み進めると、
その後書きの一文に目がとまりました。その文章は確か、
「著者が列車に乗ると、自分の向かいに座った人物がとても不思議な雰囲気で、
見ようによっては老人のようにも見えるし、とても若い青年のようでもある…。」
といった内容でした。
そしてその文章を読んだ時に、私はハッと気がつきました。
その文章こそ私が現役生との英語の合同授業で和訳した英文でした。

自分の和訳がきちんとした文章になっている事に、
ほんの少しでも前進していると実感できた瞬間でした。
人それぞれ、得手不得手があって当たり前。
苦手だからこそ、恥ずかしかろうが何だろうがやり続けなければ!
そう思えるようになりました。

…受験生のみなさん。
苦手科目を避けて大学や学科を決めるのもアリアリです。
生き残るための逃げは大賛成です。
しかし、希望の学部へ合格するためには避けられない場合だってあります。
そうであれば、やるしかありません!
不安や悩みは、簡単に消えないでしょうが、
やっぱり前に進むしかないのです。
限界まで頑張れば必ずあなたの人生のプラスになります。
頑張っている人に対して「頑張れ」という言葉を不用意に用いることは
NGだとする人もいますが、
私は心からの言葉であれば問題ないと思っています。
ですから何度でも言います。
「がんばって!受験生!!」










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Posted by ミーケン。 at 09:28│Comments(0)体験談
 
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