2018年04月04日
地殻中に存在する元素について
地殻中に存在する元素を質量パーセント順に挙げると2番目に多いのは?
・・・などという問題をよく目にします。
答えはケイ素Siです。
これは単純に「クラーク数」の暗記の問題として扱われますが、
クラーク数とは、
「地表付近(地表面から10マイル以下までの範囲)に存在する
元素の割合を予測計算し、質量パーセント順に表示したもの」
とのことです。
地表付近には「地殻」以外に海水や大気も存在するので、
「クラーク数」を「地殻中の元素の割合」と完全に同じとみなすのは
少し大雑把ですが、地表付近の地殻(岩石)の占める質量割合が
約93.06%、海水が約6.91%、大気が0.03%となっているので、
おおよそオッケーということなのでしょう。
細かい定義はさておき、
センター試験のレベルであれば単純に知識問題として出題されますから、
地殻中の元素を質量パーセントで多い順に表示したクラーク数を
覚えておきたいところです。
クラーク数は以下の通り。
①:O(49.5%) ②:Si(25.8%) ③:Al(7.56%) ④:Fe(4.70%)
⑤:Ca(3.39%) ⑥:Na(2.63%) ⑦:K(2.40%) ⑧:Mg(1.93%)
私は語呂合わせで「おっしゃってかな書きます」と覚えています。
もちろん数値まで暗記する必要はありません。
センター試験レベルでは順位を暗記しているだけで大丈夫です。
ただし、地殻中に存在する金属元素で2番目に割合の多いのは?
(答え:鉄Fe)
・・・というふうに、よく読まないとひっかかってしまうような聞き方の
問題には注意してください。
この「クラーク数」のように問題の答えを覚えるのではなく、
問題を解くために覚えておかなければならないことが
高校化学にはたくさんあります。
私のこのブログでも、これまで色々と覚えておくべきことを
紹介してきましたから興味のある方は参考にしてくださいね。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ、受験生!!
・・・などという問題をよく目にします。
答えはケイ素Siです。
これは単純に「クラーク数」の暗記の問題として扱われますが、
クラーク数とは、
「地表付近(地表面から10マイル以下までの範囲)に存在する
元素の割合を予測計算し、質量パーセント順に表示したもの」
とのことです。
地表付近には「地殻」以外に海水や大気も存在するので、
「クラーク数」を「地殻中の元素の割合」と完全に同じとみなすのは
少し大雑把ですが、地表付近の地殻(岩石)の占める質量割合が
約93.06%、海水が約6.91%、大気が0.03%となっているので、
おおよそオッケーということなのでしょう。
細かい定義はさておき、
センター試験のレベルであれば単純に知識問題として出題されますから、
地殻中の元素を質量パーセントで多い順に表示したクラーク数を
覚えておきたいところです。
クラーク数は以下の通り。
①:O(49.5%) ②:Si(25.8%) ③:Al(7.56%) ④:Fe(4.70%)
⑤:Ca(3.39%) ⑥:Na(2.63%) ⑦:K(2.40%) ⑧:Mg(1.93%)
私は語呂合わせで「おっしゃってかな書きます」と覚えています。
もちろん数値まで暗記する必要はありません。
センター試験レベルでは順位を暗記しているだけで大丈夫です。
ただし、地殻中に存在する金属元素で2番目に割合の多いのは?
(答え:鉄Fe)
・・・というふうに、よく読まないとひっかかってしまうような聞き方の
問題には注意してください。
この「クラーク数」のように問題の答えを覚えるのではなく、
問題を解くために覚えておかなければならないことが
高校化学にはたくさんあります。
私のこのブログでも、これまで色々と覚えておくべきことを
紹介してきましたから興味のある方は参考にしてくださいね。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ、受験生!!
2018年03月18日
沈殿かどうかを判断するということは?
いきなりですが問題です。以下の2つの実験のうち、
沈殿が生じる反応はどちらでしょうか。
実験①:水酸化ナトリウム水溶液に炭酸カリウム水溶液を加える。
実験②:水酸化バリウム水溶液に硫酸ナトリウム水溶液を加える。
高校化学の深いところまで理解している生徒なら
濃度や各イオン同士で生じる塩の溶解度積が知りたくなるところですが、
センター試験のレベルで大雑把に問われていると考えてくださいね。
先に答えを記しておくと、
①の反応は何も起こらない
②の反応は白い沈殿が生じる。
・・・となります。
このタイプの問題は、
『一般には水に溶けやすいはずのイオン結晶の中には
水に溶けにくいものもある。それらを覚えていますか…』
と言い換えることができます。
どの陽イオンと陰イオンでできている物質は水に対してよく溶け、
また水に溶けにくいのか…。
この事実の暗記と文章の読み方が問題を解くカギなのです。
例えば硫酸ナトリウムNaSO4は水によく溶ける物質です。
よってその結晶を適量持ってきて水に入れてかき混ぜると
ナトリウムイオンNa+と硫酸イオンSO42-とに電離して拡散していきます。
私たちの目には結晶がだんだん小さくなって溶けていくように見えるでしょう。
この事実は、ナトリウムイオンと硫酸イオンがそれぞれ別の水溶液中に存在し、
その溶液同士を混ぜ合わせることで2種のイオンが出会っても
それぞれイオンとしてバラけたまま水溶液中に存在する、
混ぜ合わせた溶液に変化はない…ということと同じです。
しかしイオンの組合せによっては水に溶けにくい結晶もあります。
例えば硫酸カルシウムCaSO4という物質。
このイオン結晶は前述と同じように
陽イオン(Ca2+)と陰イオン(SO42-)とでできていますが
水にはほとんど解けません。結晶を水に沈めていくらかき混ぜても
容器の底を転がるだけで溶けて小さくなっていく様子は見られないのです。
言い換えるとカルシウムイオンと硫酸イオンがそれぞれ別の水溶液中に存在し、
その溶液同士が混ぜ合わされるとカルシウムイオンと硫酸イオンとが接触し、
どんどん集まって沈殿となってしまう…。というイメージです。
先の①・②の問題文に出てくる陽イオンと陰イオンの
組み合わせを見てみましょう。
①はナトリウムイオンNa+と水酸化物イオンOH-、
カリウムイオンK+と炭酸イオンCO32-とが混ざり合いますが、
どの陽イオンと陰イオンの組み合わせも水によく溶けるものであり、
②はバリウムイオンBa2+と水酸化物イオンOH-、
ナトリウムイオンNa+と硫酸イオンSO42-とが混ざった時に
カルシウムイオンCa2+と硫酸イオンSO42-の組み合わせでできる硫酸バリウム
BaSO4が水に溶けにくいイオン結晶(沈殿)になる…ということです。
教科書に掲載されているイオン結晶(固体)の写真を見て、
固体なんだから、すべてが沈殿だと勘違いする生徒が多いですが、
水に溶けやすい結晶は水中では溶解し、水に溶けにくい結晶は沈澱してしまう、
どの結晶が沈澱となるかは覚えるしかない…という意識が必要なのです。
また、文章を読むときに「水溶液」なのか「固体」なのか、をイメージするため
ちょっとした表現の違いも大切です。
例えば、「炭酸ナトリウム」といえば常温で固体、
それを水に溶かすと「炭酸ナトリウム水溶液」となって
ナトリウムイオンNa+と炭酸イオンCO32-とが水溶液中でバラけている・・・。
「炭酸カルシウム」といえば常温で同じように固体だが、
それを水に混ぜてもほとんど溶けずに沈んだまま。
カルシウムイオンCa2+と炭酸イオンCO32-とが別々の水溶液に存在するとき、
その2つを混ぜ合わせると炭酸カルシウムCaCO3の沈殿が生じる・・・。
どうでしょうか。少しでもイメージをつかむキッカケになったでしょうか。
あとはどの陽イオンと陰イオンとの組み合わせが沈殿になるのかを覚えるだけ!
このブログの別のタイトルでも色々とまとめていますからのぞいてみてください。
興味のある方は私のホームページから
センター(基)シリーズの『イオン分析①②』のDVDを
お使いになることも検討してみてくださいね。
頑張れ!受験生!
沈殿が生じる反応はどちらでしょうか。
実験①:水酸化ナトリウム水溶液に炭酸カリウム水溶液を加える。
実験②:水酸化バリウム水溶液に硫酸ナトリウム水溶液を加える。
高校化学の深いところまで理解している生徒なら
濃度や各イオン同士で生じる塩の溶解度積が知りたくなるところですが、
センター試験のレベルで大雑把に問われていると考えてくださいね。
先に答えを記しておくと、
①の反応は何も起こらない
②の反応は白い沈殿が生じる。
・・・となります。
このタイプの問題は、
『一般には水に溶けやすいはずのイオン結晶の中には
水に溶けにくいものもある。それらを覚えていますか…』
と言い換えることができます。
どの陽イオンと陰イオンでできている物質は水に対してよく溶け、
また水に溶けにくいのか…。
この事実の暗記と文章の読み方が問題を解くカギなのです。
例えば硫酸ナトリウムNaSO4は水によく溶ける物質です。
よってその結晶を適量持ってきて水に入れてかき混ぜると
ナトリウムイオンNa+と硫酸イオンSO42-とに電離して拡散していきます。
私たちの目には結晶がだんだん小さくなって溶けていくように見えるでしょう。
この事実は、ナトリウムイオンと硫酸イオンがそれぞれ別の水溶液中に存在し、
その溶液同士を混ぜ合わせることで2種のイオンが出会っても
それぞれイオンとしてバラけたまま水溶液中に存在する、
混ぜ合わせた溶液に変化はない…ということと同じです。
しかしイオンの組合せによっては水に溶けにくい結晶もあります。
例えば硫酸カルシウムCaSO4という物質。
このイオン結晶は前述と同じように
陽イオン(Ca2+)と陰イオン(SO42-)とでできていますが
水にはほとんど解けません。結晶を水に沈めていくらかき混ぜても
容器の底を転がるだけで溶けて小さくなっていく様子は見られないのです。
言い換えるとカルシウムイオンと硫酸イオンがそれぞれ別の水溶液中に存在し、
その溶液同士が混ぜ合わされるとカルシウムイオンと硫酸イオンとが接触し、
どんどん集まって沈殿となってしまう…。というイメージです。
先の①・②の問題文に出てくる陽イオンと陰イオンの
組み合わせを見てみましょう。
①はナトリウムイオンNa+と水酸化物イオンOH-、
カリウムイオンK+と炭酸イオンCO32-とが混ざり合いますが、
どの陽イオンと陰イオンの組み合わせも水によく溶けるものであり、
②はバリウムイオンBa2+と水酸化物イオンOH-、
ナトリウムイオンNa+と硫酸イオンSO42-とが混ざった時に
カルシウムイオンCa2+と硫酸イオンSO42-の組み合わせでできる硫酸バリウム
BaSO4が水に溶けにくいイオン結晶(沈殿)になる…ということです。
教科書に掲載されているイオン結晶(固体)の写真を見て、
固体なんだから、すべてが沈殿だと勘違いする生徒が多いですが、
水に溶けやすい結晶は水中では溶解し、水に溶けにくい結晶は沈澱してしまう、
どの結晶が沈澱となるかは覚えるしかない…という意識が必要なのです。
また、文章を読むときに「水溶液」なのか「固体」なのか、をイメージするため
ちょっとした表現の違いも大切です。
例えば、「炭酸ナトリウム」といえば常温で固体、
それを水に溶かすと「炭酸ナトリウム水溶液」となって
ナトリウムイオンNa+と炭酸イオンCO32-とが水溶液中でバラけている・・・。
「炭酸カルシウム」といえば常温で同じように固体だが、
それを水に混ぜてもほとんど溶けずに沈んだまま。
カルシウムイオンCa2+と炭酸イオンCO32-とが別々の水溶液に存在するとき、
その2つを混ぜ合わせると炭酸カルシウムCaCO3の沈殿が生じる・・・。
どうでしょうか。少しでもイメージをつかむキッカケになったでしょうか。
あとはどの陽イオンと陰イオンとの組み合わせが沈殿になるのかを覚えるだけ!
このブログの別のタイトルでも色々とまとめていますからのぞいてみてください。
興味のある方は私のホームページから
センター(基)シリーズの『イオン分析①②』のDVDを
お使いになることも検討してみてくださいね。
頑張れ!受験生!
2018年01月11日
さあ、センター試験です!
受験生の皆さん。明後日からついにセンター試験が始まります。
これまで納得のいく学習はできましたか。今の体調はどうですか。
沖縄も昨日から寒くなっています。体を冷やさないように気をつけてください。
緊張している人、リラックスできている人、十分に準備できている人、まだまだ不安な人・・・。
それぞれ違う条件の中、挑む試験は皆同じです。
持てる力をしっかり出し切るつもりで頑張ってきてください!応援しています!!
これまで納得のいく学習はできましたか。今の体調はどうですか。
沖縄も昨日から寒くなっています。体を冷やさないように気をつけてください。
緊張している人、リラックスできている人、十分に準備できている人、まだまだ不安な人・・・。
それぞれ違う条件の中、挑む試験は皆同じです。
持てる力をしっかり出し切るつもりで頑張ってきてください!応援しています!!
Posted by ミーケン。 at
22:46
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2017年12月16日
反応熱の表示~ 発熱反応・吸熱反応の判断 ~
今回は文章中に表示された反応熱を熱化学方程式に表示し直すとき、
発熱反応・吸熱反応のどちらで表示するのかについて書こうと思います。
物質が燃焼すると必ず発熱するので
燃焼熱を表す熱化学方程式では、反応熱(燃焼熱)を
正の値(発熱反応)として表示します。
また、生成熱や溶解熱であれば、与えられる反応熱の情報に
正・負の符号が付いているのでこちらも熱化学方程式に表示するときに
発熱反応か吸熱反応かの疑問は起こりません。
しかし蒸発熱や凝縮熱といった状態変化を表す熱化学方程式の場合、
与えられた反応熱を発熱反応、吸熱反応、のどちらとして、
つまり熱化学方程式の反応熱を正の値とするか負の値とするかで
迷ってしまうという生徒はけっこういます。
この迷いを解消するには物質の状態変化を熱運動のイメージからとらえ、
「熱を加える必要があるのか」、「熱を奪う必要があるのか」、
といった理解で考えてみるとよいでしょう。
一般に物質は低温から高温に変化するにつれて
固体→液体→気体と状態を変化させます。
低温・固体の状態では物質を構成する分子は
分子間力に引き付けられて集合しています。
それぞれの分子は定位置で振動している程度の熱運動しかしておらず、
熱エネルギーは比較的小さいといえます。
温度が上がってくると分子は熱エネルギーを周囲から受け取り
次第に熱運動が大きくなっていきます。
そして分子間力の影響を受けながらも比較的自由に動き出します。
この状態が液体の状態です。
さらに熱エネルギーを受け取り続けると分子は熱運動を増し、
ついには分子間力の影響を無視できるほど
大きな熱エネルギーを得て自由に飛び回ります。
この状態が気体の状態です。
つまり、固体→液体→気体と状態を変化させていくということは
物質は周囲から熱エネルギーを吸収していく、ということになります。
ですから熱化学方程式でこのような変化を表現するときには
吸熱反応としての表示となるのです。
では実際の問題文の表示を見ながら確認してみましょう。
例えば「水の蒸発熱は 44 kJ/mol です。」との文章表示を
熱化学方程式で表示し直すと・・・、
H20(液) = H2O(気) - 44kJ
となります。
文章では1mol の水が蒸発するために「必要な」熱量が表示されているので、
読み取る側が「吸熱反応(周囲から必要な熱エネルギーを吸収する反応)」
であると理解できていなければ
熱化学方程式中の反応熱に負の符号を表示できないということになりますね。
また気体→液体→固体と分子の熱運動が小さくなっていく状態変化では
物質を構成する分子は、持っていた熱エネルギーを放出して
熱運動を小さくする必要があります。よって発熱反応ということになるのです。
例えば冷たい水の入ったコップを放置しておくと
その表面に水滴がつくことがあります。
それは水蒸気がコップの表面にぶつかり、冷やされて凝縮したのです。
この時、コップに冷やされた、という表現に
ついつい「冷たい=吸熱反応」というイメージをもってしまいがちですが、
水蒸気は自らが持っていた熱エネルギーをコップ側に奪われた、
つまり自らはエネルギーを放出した、ということなので発熱反応なんです。
よく起こる勘違いなので気をつけましょう。
つまり「水の凝縮熱は 44 kJ/mol です。」と言われたなら、
H20(気) = H2O(液) + 44kJ
と表示するということですね。
ちなみに先の蒸発熱の熱化学方程式が正しく書けたなら
数学の方程式と同様に左辺右辺を移項したり、
両辺にマイナスをかけたりしてOKですから、
式の形を変えることで凝縮熱の熱化学方程式に表示し直すこともできますね。
まとめると、
「融解熱(固→液)」・「蒸発熱(液→気)」・「昇華熱(固→気)」といった
より熱運動が激しくなる方への状態変化は、
周囲から熱を吸収する必要があるのでいずれも吸熱反応、
「凝固熱(液→固)」・「凝縮熱(気→液)」・「昇華熱(気→固)」といった
熱運動が弱まる方向への状態変化は、
持っていた熱エネルギーを周囲に放出する(奪われる)必要があるので
発熱反応であると言えます。
今回の文章が少しでもヒントになった生徒がいたら幸いです。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ受験生!
発熱反応・吸熱反応のどちらで表示するのかについて書こうと思います。
物質が燃焼すると必ず発熱するので
燃焼熱を表す熱化学方程式では、反応熱(燃焼熱)を
正の値(発熱反応)として表示します。
また、生成熱や溶解熱であれば、与えられる反応熱の情報に
正・負の符号が付いているのでこちらも熱化学方程式に表示するときに
発熱反応か吸熱反応かの疑問は起こりません。
しかし蒸発熱や凝縮熱といった状態変化を表す熱化学方程式の場合、
与えられた反応熱を発熱反応、吸熱反応、のどちらとして、
つまり熱化学方程式の反応熱を正の値とするか負の値とするかで
迷ってしまうという生徒はけっこういます。
この迷いを解消するには物質の状態変化を熱運動のイメージからとらえ、
「熱を加える必要があるのか」、「熱を奪う必要があるのか」、
といった理解で考えてみるとよいでしょう。
一般に物質は低温から高温に変化するにつれて
固体→液体→気体と状態を変化させます。
低温・固体の状態では物質を構成する分子は
分子間力に引き付けられて集合しています。
それぞれの分子は定位置で振動している程度の熱運動しかしておらず、
熱エネルギーは比較的小さいといえます。
温度が上がってくると分子は熱エネルギーを周囲から受け取り
次第に熱運動が大きくなっていきます。
そして分子間力の影響を受けながらも比較的自由に動き出します。
この状態が液体の状態です。
さらに熱エネルギーを受け取り続けると分子は熱運動を増し、
ついには分子間力の影響を無視できるほど
大きな熱エネルギーを得て自由に飛び回ります。
この状態が気体の状態です。
つまり、固体→液体→気体と状態を変化させていくということは
物質は周囲から熱エネルギーを吸収していく、ということになります。
ですから熱化学方程式でこのような変化を表現するときには
吸熱反応としての表示となるのです。
では実際の問題文の表示を見ながら確認してみましょう。
例えば「水の蒸発熱は 44 kJ/mol です。」との文章表示を
熱化学方程式で表示し直すと・・・、
H20(液) = H2O(気) - 44kJ
となります。
文章では1mol の水が蒸発するために「必要な」熱量が表示されているので、
読み取る側が「吸熱反応(周囲から必要な熱エネルギーを吸収する反応)」
であると理解できていなければ
熱化学方程式中の反応熱に負の符号を表示できないということになりますね。
また気体→液体→固体と分子の熱運動が小さくなっていく状態変化では
物質を構成する分子は、持っていた熱エネルギーを放出して
熱運動を小さくする必要があります。よって発熱反応ということになるのです。
例えば冷たい水の入ったコップを放置しておくと
その表面に水滴がつくことがあります。
それは水蒸気がコップの表面にぶつかり、冷やされて凝縮したのです。
この時、コップに冷やされた、という表現に
ついつい「冷たい=吸熱反応」というイメージをもってしまいがちですが、
水蒸気は自らが持っていた熱エネルギーをコップ側に奪われた、
つまり自らはエネルギーを放出した、ということなので発熱反応なんです。
よく起こる勘違いなので気をつけましょう。
つまり「水の凝縮熱は 44 kJ/mol です。」と言われたなら、
H20(気) = H2O(液) + 44kJ
と表示するということですね。
ちなみに先の蒸発熱の熱化学方程式が正しく書けたなら
数学の方程式と同様に左辺右辺を移項したり、
両辺にマイナスをかけたりしてOKですから、
式の形を変えることで凝縮熱の熱化学方程式に表示し直すこともできますね。
まとめると、
「融解熱(固→液)」・「蒸発熱(液→気)」・「昇華熱(固→気)」といった
より熱運動が激しくなる方への状態変化は、
周囲から熱を吸収する必要があるのでいずれも吸熱反応、
「凝固熱(液→固)」・「凝縮熱(気→液)」・「昇華熱(気→固)」といった
熱運動が弱まる方向への状態変化は、
持っていた熱エネルギーを周囲に放出する(奪われる)必要があるので
発熱反応であると言えます。
今回の文章が少しでもヒントになった生徒がいたら幸いです。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ受験生!
Posted by ミーケン。 at
09:52
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2017年11月08日
【Youtube動画】化学基礎 第一章:物質とその成分 問5
Youtube動画を公開しました。
今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問5』
追加問題も解説しています。
今回の動画の問題です。
-------------------------------------------------
問5 次の結果から検出できる元素は何か。
(1)プールの水をとり、硝酸銀水溶液を加えたら、
その溶液は白濁した。
(2)白金線をある水溶液に浸して、それを炎の中に
入れたところ、炎が青緑色になった。
※追加問題
次の結果から、実験試料の中にどのような
元素が含まれているかを考えよう。
・ある実験試料を燃やして気体と液体が発生した。
この気体は石灰水を白く濁らせ、
液体は硫酸銅(II)無水塩を青く変色させる。
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今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問5』
追加問題も解説しています。
今回の動画の問題です。
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問5 次の結果から検出できる元素は何か。
(1)プールの水をとり、硝酸銀水溶液を加えたら、
その溶液は白濁した。
(2)白金線をある水溶液に浸して、それを炎の中に
入れたところ、炎が青緑色になった。
※追加問題
次の結果から、実験試料の中にどのような
元素が含まれているかを考えよう。
・ある実験試料を燃やして気体と液体が発生した。
この気体は石灰水を白く濁らせ、
液体は硫酸銅(II)無水塩を青く変色させる。
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2017年10月31日
【Youtube動画】化学基礎 第一章:物質とその成分 問4
Youtube動画を公開しました。
今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問4』
今回の動画の問題です。
-------------------------------------------------
問4 次の物質どうしの組合せの内、
互いに同素体であるものを選べ。
(ア)塩素とヨウ素 (イ)酸素とオゾン
(ウ)銀と水銀 (エ)一酸化炭素と二酸化炭素
(オ)黒鉛と亜鉛 (カ)水と氷
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今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問4』
今回の動画の問題です。
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問4 次の物質どうしの組合せの内、
互いに同素体であるものを選べ。
(ア)塩素とヨウ素 (イ)酸素とオゾン
(ウ)銀と水銀 (エ)一酸化炭素と二酸化炭素
(オ)黒鉛と亜鉛 (カ)水と氷
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2017年10月24日
【Youtube動画】化学基礎 第一章:物質とその成分 問3
Youtube動画を公開しました。
今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:物質とその成分 問3』
今回の動画の問題です。
-------------------------------------------------
問3 次の物質を単体・化合物・混合物の
いずれかに分類せよ。
(ア)アンモニア (イ)窒素 (ウ)ダイヤモンド
(エ)水蒸気 (オ)水酸化ナトリウム
(カ)牛乳 (キ)塩酸
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今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:物質とその成分 問3』
今回の動画の問題です。
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問3 次の物質を単体・化合物・混合物の
いずれかに分類せよ。
(ア)アンモニア (イ)窒素 (ウ)ダイヤモンド
(エ)水蒸気 (オ)水酸化ナトリウム
(カ)牛乳 (キ)塩酸
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2017年10月23日
【Youtube動画】化学基礎 第一章:問2 混合物と純物質
Youtube動画を公開しました。
今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問2』
今回の動画の問題です。
-------------------------------------------------------------------------
問2 次の分離・精製の操作に用いられる方法や現象の名称として
最も適切なものを下の(ア)~(カ)から一つずつ選びなさい。
(1)硫酸銅(II)が少量混ざってしまった硝酸カリウムから
硝酸カリウムだけを取り出す。
(2)塩化ナトリウムとヨウ素との混合物からヨウ素のみを取り出す。
(3)液体空気から、窒素と酸素を分離する。
(窒素;-195℃沸点、酸素;-182℃沸点)
(4)すりつぶした大豆から、ヘキサンを溶媒として大豆油を取り出す。
(5)海水から、純粋な水を取り出す。
(6)砂の混ざった水から、砂と水を分離する。
選択肢
(ア) 蒸留 (イ) 分留 (ウ) 昇華 (エ) 抽出
(オ) 再結晶 (カ) ろ過
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今回アップした動画内容は、
『化学基礎教科書の「問い」解説 第一章:混合物と純物質 問2』
今回の動画の問題です。
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問2 次の分離・精製の操作に用いられる方法や現象の名称として
最も適切なものを下の(ア)~(カ)から一つずつ選びなさい。
(1)硫酸銅(II)が少量混ざってしまった硝酸カリウムから
硝酸カリウムだけを取り出す。
(2)塩化ナトリウムとヨウ素との混合物からヨウ素のみを取り出す。
(3)液体空気から、窒素と酸素を分離する。
(窒素;-195℃沸点、酸素;-182℃沸点)
(4)すりつぶした大豆から、ヘキサンを溶媒として大豆油を取り出す。
(5)海水から、純粋な水を取り出す。
(6)砂の混ざった水から、砂と水を分離する。
選択肢
(ア) 蒸留 (イ) 分留 (ウ) 昇華 (エ) 抽出
(オ) 再結晶 (カ) ろ過
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2017年10月23日
【Youtube動画】教科書の問いの解説授業を動画にアップします。
このブログを見に来てくれる皆さん、いつもありがとうございます。
今回はyoutubeにアップした私の動画の宣伝です。
私はいくつかの予備校を掛け持ちして化学を教えてきました。
その年間を通しての高校化学基礎・高校化学の授業を撮りため、
DVD教材(書き込み式テキスト付)としてHPで販売もしています。
しかし最近では無料の動画によりいろいろな情報が手に入るように
なったため、私の方でも何か提供できる無料の教材動画はないかと
検討していました。
これまで撮りためた予備教授業をそのまま無料でアップすることは
予備校に授業料を払って通っている生徒や、これまでその
授業DVD教材を購入してくれた生徒に対して失礼なので、これから私が
無料で提供する動画の内容を、高校化学基礎、高校化学の
「教科書の問い・演習問題の解説授業」と位置づけることにしました。
予備校での一から丁寧にイメージを伝え、何を理解するか、
何を覚えるかをはっきりと意識できるようにし、
授業内容を書き込んだノートを作成し、復習・反復する。
そしてその定着を付属のチェックテストで確認する…。
この流れはこれまで通り予備校の授業でやっていきます。
その一方で予備校では学校のように十分な授業時間がもらえないため
どうしても演習問題を一緒に解く時間が少なめであることが気になっていました。
それをこの無料動画で補う形にできればわたしもスッキリしますし、
これまで授業を購入していただいた皆様にも失礼にあたらないと思います。
というわけで今後、予備校授業を続けながら
「教科書の問いの解説」を動画でアップしていきたいと思います。
まずは化学基礎から。少しずつですが頑張っていきます。
このブログだけでなくそちらの方もどうぞご利用ください。
今回アップした動画内容は、第一章:混合物と純物質 問1です。
-----------------------------------------------------------------------------
問1 次の物質を混合物と純物質とに分類せよ。
(1)水素 (2)食塩水 (3)エタノール
(4)牛乳 (5)石油 (6)二酸化炭素
(7)酸化マグネシウム (8)塩酸
(9)空気
-----------------------------------------------------------------------------
今回はyoutubeにアップした私の動画の宣伝です。
私はいくつかの予備校を掛け持ちして化学を教えてきました。
その年間を通しての高校化学基礎・高校化学の授業を撮りため、
DVD教材(書き込み式テキスト付)としてHPで販売もしています。
しかし最近では無料の動画によりいろいろな情報が手に入るように
なったため、私の方でも何か提供できる無料の教材動画はないかと
検討していました。
これまで撮りためた予備教授業をそのまま無料でアップすることは
予備校に授業料を払って通っている生徒や、これまでその
授業DVD教材を購入してくれた生徒に対して失礼なので、これから私が
無料で提供する動画の内容を、高校化学基礎、高校化学の
「教科書の問い・演習問題の解説授業」と位置づけることにしました。
予備校での一から丁寧にイメージを伝え、何を理解するか、
何を覚えるかをはっきりと意識できるようにし、
授業内容を書き込んだノートを作成し、復習・反復する。
そしてその定着を付属のチェックテストで確認する…。
この流れはこれまで通り予備校の授業でやっていきます。
その一方で予備校では学校のように十分な授業時間がもらえないため
どうしても演習問題を一緒に解く時間が少なめであることが気になっていました。
それをこの無料動画で補う形にできればわたしもスッキリしますし、
これまで授業を購入していただいた皆様にも失礼にあたらないと思います。
というわけで今後、予備校授業を続けながら
「教科書の問いの解説」を動画でアップしていきたいと思います。
まずは化学基礎から。少しずつですが頑張っていきます。
このブログだけでなくそちらの方もどうぞご利用ください。
今回アップした動画内容は、第一章:混合物と純物質 問1です。
-----------------------------------------------------------------------------
問1 次の物質を混合物と純物質とに分類せよ。
(1)水素 (2)食塩水 (3)エタノール
(4)牛乳 (5)石油 (6)二酸化炭素
(7)酸化マグネシウム (8)塩酸
(9)空気
-----------------------------------------------------------------------------
2017年10月01日
発熱反応・吸熱反応の判断
今回は文章中に表示された反応熱を熱化学方程式に表示し直すとき、
発熱反応・吸熱反応のどちらで表示するのかについて書こうと思います。
物質が燃焼すると必ず発熱するので
燃焼熱を表す熱化学方程式では、反応熱(燃焼熱)を
正の値(発熱反応)として表示します。
また、生成熱や溶解熱であれば、与えられる反応熱の情報に
正・負の符号が付いているのでこちらも熱化学方程式に表示するときに
発熱か吸熱かの疑問は起こりません。
しかし蒸発熱や凝縮熱といった状態変化を表す熱化学方程式の場合、
与えられた反応熱を発熱反応、吸熱反応、のどちらとして
熱化学方程式を表示するのか迷ってしまうという生徒はけっこういます。
この迷いを解消するには物質の状態変化を熱運動のイメージからとらえ、
「熱を加える必要があるのか」、「熱を奪う必要があるのか」、
といった理解で考えてみるとよいでしょう。
一般に物質は低温から高温に変化するにつれて
固体→液体→気体と状態を変化させます。
低温・固体の状態では物質を構成する分子は
分子間力に引き付けられて集合しています。
それぞれの分子は定位置で振動している程度の熱運動しかしておらず、
熱エネルギーは比較的小さいといえます。
温度が上がってくると分子は熱エネルギーを周囲から受け取り
次第に熱運動が大きくなっていきます。
そして分子間力の影響を受けながらも比較的自由に動き出します。
この状態が液体の状態です。
さらに熱エネルギーを受け取り続けると分子は熱運動を増し、
ついには分子間力の影響を無視できるほど
大きな熱エネルギーを得て自由に飛び回ります。
この状態が気体の状態です。
つまり、固体→液体→気体と状態を変化させていくということは
物質は周囲から熱エネルギーを吸収していく、ということになります。
ですから熱化学方程式でこのような変化を表現するときには
吸熱反応となるのです。
では実際の問題文の表示を見ながら確認してみましょう。
例えば「水の蒸発熱は 44 kJ/mol です。」との文章表示を
熱化学方程式で表示し直すと・・・、
H20(液) = H2O(気) - 44kJ
となります。
文章では1mol の水が蒸発するために「必要な」熱量が表示されるので、
読み手側が「吸熱反応(周囲から必要な熱エネルギーを吸収する反応)」
であると理解できていなければ熱化学方程式中の反応熱に
負の符号を表示できないということになりますね。
また気体→液体→固体と分子の熱運動が小さくなっていく状態変化では
物質を構成する分子は、持っていた熱エネルギーを放出して
熱運動を小さくする必要があります。
よって発熱反応ということになるのです。
例えば冷たい水の入ったコップを放置しておくと
その表面に水滴がつくことがあります。
それは水蒸気がコップの表面にぶつかり、冷やされて凝縮したのです。
この時、コップに冷やされた、という表現に
ついつい「冷たい=吸熱反応」というイメージをもってしまいがちですが、
水蒸気は自らが持っていた熱エネルギーをコップ側に奪われた、
つまり自らはエネルギーを放出した、ということなので発熱反応なんです。
よく起こる勘違いなので気をつけましょう。
つまり「水の凝縮熱は 44 kJ/mol です。」と言われたなら、
H20(気) = H2O(液) + 44kJ
と表示するということですね。
ちなみに先の蒸発熱の熱化学方程式が正しく書けたなら
熱化学方程式は、数学の方程式と同様に左辺右辺を移項したり、
両辺にマイナスをかけたりしてOKです。
最終的に反応熱を右辺(反応後)に持ってくることで
凝縮熱の熱化学方程式に表示し直すこともできますよ。
まとめると、
「融解熱(固→液)」・「蒸発熱(液→気)」・「昇華熱(固→気)」といった
より熱運動が激しくなる方への状態変化は、
周囲から熱を吸収する必要があるのでいずれも吸熱反応、
「凝固熱(液→固)」・「凝縮熱(気→液)」・「昇華熱(気→固)」といった
熱運動が弱まる方向への状態変化は、
持っていた熱エネルギーを周囲に放出する(奪われる)必要があるので
発熱反応であると言えます。
今回の文章が少しでもヒントになった生徒がいたら幸いです。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ受験生!
2017年08月23日
価標と原子価の違いって・・・?
今回は構造式を授業で扱うときによくある質問について。
化学式には分子式、組成式、イオン式、電子式、構造式・・・といった
色々な表示法がありますが、そのなかで構造式を説明する教科書の
文中に「価標」と「原子価」という用語がでてきます。
この二つの用語は何が違うの?・・・というのが今回取り上げる内容です。
分子の構造式がしっかり書けることが大切であり、
この用語の違いがはっきりとわかっていないためにミスしてしまう
問題はセンター試験レベルではほとんどないと思いますが
正しく用語を使えるようになるために意識して使い分けましょう。
さてさて、分子を構造式で表示するとき、
1組の共有電子対による共有結合(単結合)を1本の線で表します。
この線を「価標」といいます。
2組の共有電子対による共有結合(二重結合)なら2本、
3組の共有電子対による共有結合(三重結合)なら3本の価標で
それらの結合を表現するというわけです。
例えば、水分子の構造式であれば H-O-H
二酸化炭素分子の構造式であれば O=C=O と表示します。
このとき、水分子内には2本の価標があり、
二酸化炭素分子内には4本の価標がある、と言えますね。
では原子価と言ったときにはどうとらえるのでしょう。
「原子価」とは「分子内の一つの原子から出ている価標の数」です。
ようするに分子全体ではなく、あくまで分子の中の一つの原子に
注目して話したい時に用いる用語と言えるでしょう。
例えば先の2つの構造式の中の各原子であれば、
水素原子の原子価は1、酸素原子の原子価は2、
炭素原子の原子価は4、となります。
原子の原子価は分子内でその原子から出ている価標の数であり、
それはその原子がもともと持っている不対電子の数と等しくなります。
まとめると・・・、
分子全体をとらえて
結合の共有結合の本数を話題にするときには「価標」、
原子一つをとらえて、
そこから伸びる共有結合の数を話題にするときには「原子価」、
・・・ということですね。
ちょっとした違いですがこういった用語を意識していくと
高校化学全般の理解も深まっていくものです。
それでは今回はこの辺で。頑張れ受験生!
化学式には分子式、組成式、イオン式、電子式、構造式・・・といった
色々な表示法がありますが、そのなかで構造式を説明する教科書の
文中に「価標」と「原子価」という用語がでてきます。
この二つの用語は何が違うの?・・・というのが今回取り上げる内容です。
分子の構造式がしっかり書けることが大切であり、
この用語の違いがはっきりとわかっていないためにミスしてしまう
問題はセンター試験レベルではほとんどないと思いますが
正しく用語を使えるようになるために意識して使い分けましょう。
さてさて、分子を構造式で表示するとき、
1組の共有電子対による共有結合(単結合)を1本の線で表します。
この線を「価標」といいます。
2組の共有電子対による共有結合(二重結合)なら2本、
3組の共有電子対による共有結合(三重結合)なら3本の価標で
それらの結合を表現するというわけです。
例えば、水分子の構造式であれば H-O-H
二酸化炭素分子の構造式であれば O=C=O と表示します。
このとき、水分子内には2本の価標があり、
二酸化炭素分子内には4本の価標がある、と言えますね。
では原子価と言ったときにはどうとらえるのでしょう。
「原子価」とは「分子内の一つの原子から出ている価標の数」です。
ようするに分子全体ではなく、あくまで分子の中の一つの原子に
注目して話したい時に用いる用語と言えるでしょう。
例えば先の2つの構造式の中の各原子であれば、
水素原子の原子価は1、酸素原子の原子価は2、
炭素原子の原子価は4、となります。
原子の原子価は分子内でその原子から出ている価標の数であり、
それはその原子がもともと持っている不対電子の数と等しくなります。
まとめると・・・、
分子全体をとらえて
結合の共有結合の本数を話題にするときには「価標」、
原子一つをとらえて、
そこから伸びる共有結合の数を話題にするときには「原子価」、
・・・ということですね。
ちょっとした違いですがこういった用語を意識していくと
高校化学全般の理解も深まっていくものです。
それでは今回はこの辺で。頑張れ受験生!
2017年08月04日
凍らせたスポーツドリンクの溶けはじめって味が濃い?
暑いこの時期の外出、目的地に着いた時に冷えた状態で
飲むための工夫として、スポーツドリンクを冷蔵庫で
凍らせておいたことはありませんか?
しかし、予想より早く目的地に到着してしまい、
スポーツドリンクがほとんど解けていない・・・。仕方なく全体が溶けるのを
待たずに、少しでも溶けたらすぐに口に運ぶ・・・。
そんな経験をした事がある人はけっこういるのでは?
私も学生の頃、同じ経験を何度もしました。
その、凍った状態から少しだけ溶けたスポーツドリンクの味が
いつもと違うことに疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
なぜか溶け始めのヤツはいつもより濃い味になっていて、
最後の方に溶けるヤツは水のように薄い味になっているようだ・・・。
これって渇いたのどに最初に入っていくときが特においしく感じてしまう
といった感覚的なものなのか・・・。
それとも最初の方に溶けたヤツの味と最後の方に溶けたヤツの味が
実際に変わっているのか・・・。
この疑問は凝固点降下についての知識で説明できます。
純粋な物質の凝固点は一定で、水の凝固点は0℃です。
その水に、塩や砂糖などを溶解させた溶液は、純粋な水よりも凝固点が
若干低くなるのです。これを凝固点降下といいます。
簡単に理由を述べると、均等に混ざった溶液のまま凝固するのではなく、
まず水だけが凝固し始めます。その時、溶けている溶質の粒子が
邪魔になり凝固しにくいため、いつも以上に冷やさないといけない・・・
というイメージでOKです。
つまり水に砂糖や塩といった溶質粒子を溶かせば溶かすほど、
より高い濃度の溶液であればあるほど、
水の結晶化を邪魔する粒子が多く、凝固点が下がると言えます。
この効果を利用して、湿った道路表面の水が0℃で凝固してしまうのを
防ぐために塩化カルシウムなどの融雪剤を路面上に撒いて溶かし、
水の凝固点を下げ、0℃程度では路面が凍結しなくなる・・・
といった工夫もありますね。
話を戻して、
冷凍庫内で冷やされていくスポーツドリンクをイメージしてみましょう。
冷却されたスポーツドリンク内では、まず一部の水だけが先に凝固し、
氷になり始めます。その時にブドウ糖やその他色々な溶質は、
規則正しく結晶化していく氷の外へと押しのけられていきます。
そうして一部の水が結晶化したことで、残った液体部分の容積は減り、
溶質が押しのけられたてきたため、濃度は高くなっています。
よってその残った液体部分の凝固点はさらに低くなり、
さらに温度が低くなると、やはり水が先に凝固していく・・・
そうして最後に一番濃い溶液部分が凍ってしまいます。
最後に凍った部分が一番濃い溶液で、一番凝固点が低い部分である・・・。
つまり、温まって溶けていくときには、
一番最初に溶ける部分が一番濃い味の溶液である、ということが言えます。
よって、凍らせたスポーツドリンクの溶け始めの味が一番濃く、
最後の方に溶ける部分が薄い味になっている・・・というのは
思い込みなどではないのですね。
毎日暑い日々が続いています。冷たいものが美味しくて
ついつい食べ過ぎてしまいますが、あまり体を冷やしすぎるのは
夏バテの原因になります。気をつけてください。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ、受験生!
飲むための工夫として、スポーツドリンクを冷蔵庫で
凍らせておいたことはありませんか?
しかし、予想より早く目的地に到着してしまい、
スポーツドリンクがほとんど解けていない・・・。仕方なく全体が溶けるのを
待たずに、少しでも溶けたらすぐに口に運ぶ・・・。
そんな経験をした事がある人はけっこういるのでは?
私も学生の頃、同じ経験を何度もしました。
その、凍った状態から少しだけ溶けたスポーツドリンクの味が
いつもと違うことに疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
なぜか溶け始めのヤツはいつもより濃い味になっていて、
最後の方に溶けるヤツは水のように薄い味になっているようだ・・・。
これって渇いたのどに最初に入っていくときが特においしく感じてしまう
といった感覚的なものなのか・・・。
それとも最初の方に溶けたヤツの味と最後の方に溶けたヤツの味が
実際に変わっているのか・・・。
この疑問は凝固点降下についての知識で説明できます。
純粋な物質の凝固点は一定で、水の凝固点は0℃です。
その水に、塩や砂糖などを溶解させた溶液は、純粋な水よりも凝固点が
若干低くなるのです。これを凝固点降下といいます。
簡単に理由を述べると、均等に混ざった溶液のまま凝固するのではなく、
まず水だけが凝固し始めます。その時、溶けている溶質の粒子が
邪魔になり凝固しにくいため、いつも以上に冷やさないといけない・・・
というイメージでOKです。
つまり水に砂糖や塩といった溶質粒子を溶かせば溶かすほど、
より高い濃度の溶液であればあるほど、
水の結晶化を邪魔する粒子が多く、凝固点が下がると言えます。
この効果を利用して、湿った道路表面の水が0℃で凝固してしまうのを
防ぐために塩化カルシウムなどの融雪剤を路面上に撒いて溶かし、
水の凝固点を下げ、0℃程度では路面が凍結しなくなる・・・
といった工夫もありますね。
話を戻して、
冷凍庫内で冷やされていくスポーツドリンクをイメージしてみましょう。
冷却されたスポーツドリンク内では、まず一部の水だけが先に凝固し、
氷になり始めます。その時にブドウ糖やその他色々な溶質は、
規則正しく結晶化していく氷の外へと押しのけられていきます。
そうして一部の水が結晶化したことで、残った液体部分の容積は減り、
溶質が押しのけられたてきたため、濃度は高くなっています。
よってその残った液体部分の凝固点はさらに低くなり、
さらに温度が低くなると、やはり水が先に凝固していく・・・
そうして最後に一番濃い溶液部分が凍ってしまいます。
最後に凍った部分が一番濃い溶液で、一番凝固点が低い部分である・・・。
つまり、温まって溶けていくときには、
一番最初に溶ける部分が一番濃い味の溶液である、ということが言えます。
よって、凍らせたスポーツドリンクの溶け始めの味が一番濃く、
最後の方に溶ける部分が薄い味になっている・・・というのは
思い込みなどではないのですね。
毎日暑い日々が続いています。冷たいものが美味しくて
ついつい食べ過ぎてしまいますが、あまり体を冷やしすぎるのは
夏バテの原因になります。気をつけてください。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ、受験生!
2017年07月10日
「元素」と「単体」
「文中の下線部が元素ではなく、単体を示しているものを選びなさい。」
このような問題は化学基礎の教科書の最初の方に掲載されていて、
高校1年生の1学期中には学習します。
しかし、高校3年になった生徒たちからも質問の多い問題です。
単体とは1種類の元素の原子からできている物質です。
単体(物質)とその成分である元素が同じ名前になってしまうところに
この問題のややこしさがあります。
しかし文章に化学式を添えると結構分かりやすくなるものです。
以下の二つの文章を例に挙げてみるので参考にしてください。
①「水は水素と酸素でできている。」
この文章の意味を化学式を添えて考えてみると、
「水H2O(物質)は、水素H(原子・成分・元素)と酸素O(原子・成分・元素)
からできている。」 という意味です。
水という純粋な物質の中には、
元素(原子・成分)としての水素Hや酸素Oはありますが、
物質(単体)としての水素H2や酸素O2があるわけではないということですね。
②「水を電気分解すると陽極から酸素、陰極から水素が発生した。」
といった場合ならばどうでしょう。
この場合は化学式を添えてみると、
「水H2O(物質)を電気分解すると、陽極から酸素O2(物質・単体)、
陰極から水素H2(物質・単体)が発生した。」となります。
水という純粋な物質を電気で分解すると、
水とは別の物質である水素H2や酸素O2が出てきたよ。
・・・という意味ですね。
ようするに元素としての用語を用いるときは
物質の中に存在する成分(目に見えない原子の種類)をイメージしていて、
単体(物質)としての用語を用いるときには
実際にそこにある物質そのものをイメージしているのです。
この時に重要なのは実際に物質として存在する水素や酸素のイメージです。
水素H2(物質・単体)は、水素原子Hが2個結合した水素分子H2が
多数集まってできている気体である・・・というイメージや
酸素O2(物質・単体)は、酸素原子Oが2個結合した酸素分子O2が
多数集まってできている気体である・・・というイメージ、
また、水H2Oは水素原子2個と酸素原子1個が結合した水分子H2Oが
多数集まってできている液体である・・・といった各物質のイメージを
自分のものにしておかないと結局のところ分かりにくいのです。
色々な物質の構成粒子イメージと化学式とをまだしっかりと覚えていない
高校1年の前半では、なおさら難しく思えて当然です。
できれば、化学基礎の教科書にある「結合と結晶」の単元を終了して、
イオン結晶、分子結晶、共有結晶、金属結晶でできている物質の代表例や
分子式で表す物質と組成式で表す物質の違いなどを理解してから
もう一度戻って練習したい問題と言えるでしょう。
また、一度に理解できなくてもそれほど気に病むことはありません。
言葉は何度も使っていくうちに慣れてくるので
心配しないでどんどん学習を進めていってくださいね。
それでは今回はこの辺で。頑張れ受験に化学を必要とする生徒!
このような問題は化学基礎の教科書の最初の方に掲載されていて、
高校1年生の1学期中には学習します。
しかし、高校3年になった生徒たちからも質問の多い問題です。
単体とは1種類の元素の原子からできている物質です。
単体(物質)とその成分である元素が同じ名前になってしまうところに
この問題のややこしさがあります。
しかし文章に化学式を添えると結構分かりやすくなるものです。
以下の二つの文章を例に挙げてみるので参考にしてください。
①「水は水素と酸素でできている。」
この文章の意味を化学式を添えて考えてみると、
「水H2O(物質)は、水素H(原子・成分・元素)と酸素O(原子・成分・元素)
からできている。」 という意味です。
水という純粋な物質の中には、
元素(原子・成分)としての水素Hや酸素Oはありますが、
物質(単体)としての水素H2や酸素O2があるわけではないということですね。
②「水を電気分解すると陽極から酸素、陰極から水素が発生した。」
といった場合ならばどうでしょう。
この場合は化学式を添えてみると、
「水H2O(物質)を電気分解すると、陽極から酸素O2(物質・単体)、
陰極から水素H2(物質・単体)が発生した。」となります。
水という純粋な物質を電気で分解すると、
水とは別の物質である水素H2や酸素O2が出てきたよ。
・・・という意味ですね。
ようするに元素としての用語を用いるときは
物質の中に存在する成分(目に見えない原子の種類)をイメージしていて、
単体(物質)としての用語を用いるときには
実際にそこにある物質そのものをイメージしているのです。
この時に重要なのは実際に物質として存在する水素や酸素のイメージです。
水素H2(物質・単体)は、水素原子Hが2個結合した水素分子H2が
多数集まってできている気体である・・・というイメージや
酸素O2(物質・単体)は、酸素原子Oが2個結合した酸素分子O2が
多数集まってできている気体である・・・というイメージ、
また、水H2Oは水素原子2個と酸素原子1個が結合した水分子H2Oが
多数集まってできている液体である・・・といった各物質のイメージを
自分のものにしておかないと結局のところ分かりにくいのです。
色々な物質の構成粒子イメージと化学式とをまだしっかりと覚えていない
高校1年の前半では、なおさら難しく思えて当然です。
できれば、化学基礎の教科書にある「結合と結晶」の単元を終了して、
イオン結晶、分子結晶、共有結晶、金属結晶でできている物質の代表例や
分子式で表す物質と組成式で表す物質の違いなどを理解してから
もう一度戻って練習したい問題と言えるでしょう。
また、一度に理解できなくてもそれほど気に病むことはありません。
言葉は何度も使っていくうちに慣れてくるので
心配しないでどんどん学習を進めていってくださいね。
それでは今回はこの辺で。頑張れ受験に化学を必要とする生徒!
2017年06月25日
「ちょうど中和する(中和点にする)」と「中性にする」の違い
生徒たちからの質問が多い問題の一つに
「酢酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えていってちょうど中和すると
水溶液の液性は酸性・中性・塩基性のどちらになりますか。」
という類のものがあります。
この問題の答えは
「塩基性」
その理由は、
「中和反応の結果酢酸ナトリウムという塩ができ、それに含まれる
酢酸イオンが加水分解して水酸化物イオンを発生するため。」
です。
しかし、質問を持ってくる生徒の大半は、
酢酸イオンが加水分解を起こすこということも、
酢酸イオンが加水分解した後、水溶液が塩基性になることも、
十分に理解しているのです。
その生徒たちは口をそろえて、
「塩の加水分解によって発生する水酸化物イオンも含めて中和するので
中和点ではpH7、水溶液の液性は中性ではないの?」
と聞いてきます。
私も学生の頃、同じ疑問を持ったので、その気持ちがよくわかります。
この勘違いは今回のタイトルにもなっている
「中和する(中和点にする)」と「中性にする」の用語を
同じものとして、とらえてしまっているために起こります。
「ちょうど中和する(中和点にする)」とは、ようするに
準備した酸の中に含まれていた水素イオン(H+)と
加える塩基の中に含まれる水酸化物イオン(OH‐)の物質量を同じにする、
ということです。
ですから、中和点になった時点で発生している別の物質が起こす反応で
新たに生じるH+やOH‐までは考えに入れなくてよいということです。
中和滴定の実験はまさに中和点を見つけているのです。
一方、酸や塩基を加えていって溶液の液性をちょうどpH7にする、
という意味であれば
「ちょうど中性にする」、という用語を使えば良いということですね!
それでは今回はこの辺で。
暑い夏がやってきます。体調管理に気をつけて、頑張れ、受験生!
「酢酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えていってちょうど中和すると
水溶液の液性は酸性・中性・塩基性のどちらになりますか。」
という類のものがあります。
この問題の答えは
「塩基性」
その理由は、
「中和反応の結果酢酸ナトリウムという塩ができ、それに含まれる
酢酸イオンが加水分解して水酸化物イオンを発生するため。」
です。
しかし、質問を持ってくる生徒の大半は、
酢酸イオンが加水分解を起こすこということも、
酢酸イオンが加水分解した後、水溶液が塩基性になることも、
十分に理解しているのです。
その生徒たちは口をそろえて、
「塩の加水分解によって発生する水酸化物イオンも含めて中和するので
中和点ではpH7、水溶液の液性は中性ではないの?」
と聞いてきます。
私も学生の頃、同じ疑問を持ったので、その気持ちがよくわかります。
この勘違いは今回のタイトルにもなっている
「中和する(中和点にする)」と「中性にする」の用語を
同じものとして、とらえてしまっているために起こります。
「ちょうど中和する(中和点にする)」とは、ようするに
準備した酸の中に含まれていた水素イオン(H+)と
加える塩基の中に含まれる水酸化物イオン(OH‐)の物質量を同じにする、
ということです。
ですから、中和点になった時点で発生している別の物質が起こす反応で
新たに生じるH+やOH‐までは考えに入れなくてよいということです。
中和滴定の実験はまさに中和点を見つけているのです。
一方、酸や塩基を加えていって溶液の液性をちょうどpH7にする、
という意味であれば
「ちょうど中性にする」、という用語を使えば良いということですね!
それでは今回はこの辺で。
暑い夏がやってきます。体調管理に気をつけて、頑張れ、受験生!
2017年05月21日
ヨウ素でんぷん反応でちょっとしたイタズラを・・・
今回はちょっと息抜きを。
小・中学校でも耳にするし、高校化学の教科書では
天然高分子化合物の分野に記載されているヨウ素でんぷん反応。
有名な反応ですね。
大雑把に言うと、ヨウ素とデンプンが混ざると
鮮やかな青紫色を呈するという反応です。
ヨウ素はそれ自体では水に溶けにくいのですが、
ヨウ化物イオンが共存していると水に溶ける特徴があり、その状態だと
水溶液は褐色に染まっています。
一方、デンプン分子は、ヨウ素など通常の分子よりかなり大きく、
高分子化合物と言われる物質です。
デンプン分子の形状は、特定の構造が繰り返し連なって、
らせんを描きながらチューブのようになっています。
ヨウ素デンプン反応は、デンプンという高分子が持つ、
らせん型分子構造があるために起こる反応であると言えます。
デンプン分子が溶けている水溶液中にヨウ素分子が存在すると、
比較的小さなヨウ素分子が、分子間力によって大きなデンプン分子に
引き付けられ、らせん構造内部へとはまり込んでいきます。
このことが原因で光を吸収する波長が変化し、
溶液の色が鮮やかな青紫色に変化すると言われています。
前置きが長くなりましたが、ここでヨウ素デンプン反応を使った、
家庭でできるちょっとしたイタズラを紹介します。
風邪で病院に行くと、よく処方される、うがい薬。
うがい薬の中にはヨウ素が入っています。
(実際は単純に単体として入っているわけではないのですが、
ヨウ素が入っているためにうがい薬は褐色であると思って良いです。)
さて、イタズラの方法ですが、
パスタをゆでた後のゆで汁を台所のシンク全体に広げるようにして
流し捨てた後に、そのままシンクを洗わずに乾燥させます。
うっすらデンプンがこびりついて白く粉を吹いた状態になるので、
カンが鋭い人は、いつもと違うと感じに気が付き、警戒するでしょうが
上手くごまかしてください。
そこで風邪の予防だとかなんとか言って、
その状態のシンクで、うがい薬によるうがいを進めてみましょう。
褐色のうがい薬をお口でガラガラした後に、べっ、とシンクに吐き出すと・・・
まぁ、なんということでしょう。
口から吐き出したのは褐色の液体のはずなのに、
シンクには真っ青な液体が飛び散っているではありませんか!
一瞬、何を口から吐き出してしまったのか混乱して固まってしまいますよ。
お父さん、お母さんが目を丸くする顔を横から眺めて笑ってあげた後、
ネタばらしをしてあげましょう!
それでは今回はこの辺で。
イタズラではない風邪予防のうがいも忘れずに。
がんばれ、受験生。
小・中学校でも耳にするし、高校化学の教科書では
天然高分子化合物の分野に記載されているヨウ素でんぷん反応。
有名な反応ですね。
大雑把に言うと、ヨウ素とデンプンが混ざると
鮮やかな青紫色を呈するという反応です。
ヨウ素はそれ自体では水に溶けにくいのですが、
ヨウ化物イオンが共存していると水に溶ける特徴があり、その状態だと
水溶液は褐色に染まっています。
一方、デンプン分子は、ヨウ素など通常の分子よりかなり大きく、
高分子化合物と言われる物質です。
デンプン分子の形状は、特定の構造が繰り返し連なって、
らせんを描きながらチューブのようになっています。
ヨウ素デンプン反応は、デンプンという高分子が持つ、
らせん型分子構造があるために起こる反応であると言えます。
デンプン分子が溶けている水溶液中にヨウ素分子が存在すると、
比較的小さなヨウ素分子が、分子間力によって大きなデンプン分子に
引き付けられ、らせん構造内部へとはまり込んでいきます。
このことが原因で光を吸収する波長が変化し、
溶液の色が鮮やかな青紫色に変化すると言われています。
前置きが長くなりましたが、ここでヨウ素デンプン反応を使った、
家庭でできるちょっとしたイタズラを紹介します。
風邪で病院に行くと、よく処方される、うがい薬。
うがい薬の中にはヨウ素が入っています。
(実際は単純に単体として入っているわけではないのですが、
ヨウ素が入っているためにうがい薬は褐色であると思って良いです。)
さて、イタズラの方法ですが、
パスタをゆでた後のゆで汁を台所のシンク全体に広げるようにして
流し捨てた後に、そのままシンクを洗わずに乾燥させます。
うっすらデンプンがこびりついて白く粉を吹いた状態になるので、
カンが鋭い人は、いつもと違うと感じに気が付き、警戒するでしょうが
上手くごまかしてください。
そこで風邪の予防だとかなんとか言って、
その状態のシンクで、うがい薬によるうがいを進めてみましょう。
褐色のうがい薬をお口でガラガラした後に、べっ、とシンクに吐き出すと・・・
まぁ、なんということでしょう。
口から吐き出したのは褐色の液体のはずなのに、
シンクには真っ青な液体が飛び散っているではありませんか!
一瞬、何を口から吐き出してしまったのか混乱して固まってしまいますよ。
お父さん、お母さんが目を丸くする顔を横から眺めて笑ってあげた後、
ネタばらしをしてあげましょう!
それでは今回はこの辺で。
イタズラではない風邪予防のうがいも忘れずに。
がんばれ、受験生。
2017年04月06日
酸化還元反応において硫酸酸性とする理由って・・・?
酸化還元反応をテーマとした問題の文章中に、
「硫酸酸性において・・・」という表現をよく目にします。
この表現について、予備校に来る生徒たちから
硫酸はなぜ必要なの?という質問が何度かありました。
今回は、この質問の答えを、
代表的な酸化剤である過マンガン酸カリウムKMnO4を
用いる酸化還元滴定を例にとって書いてみようと思います。
過マンガン酸カリウムは水溶液中でカリウムイオンK+と
過マンガン酸イオンMnO4-とを発生し、その過マンガン酸イオンの方が
酸化剤として働くわけですが、その半反応式は以下の通り。
MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O ・・・(酸性溶液中での反応式です。)
上記のように過マンガン酸イオンは酸化剤として相手を酸化するときに
自身の8倍もの量の水素イオンを必要とするので、
水溶液中の水素イオン濃度を高める、
つまり溶液を酸性にしておく必要があるのです。
例外もありますが、その他多くの酸化剤も同様で
酸性溶液中で反応を起こしやすくなっています。
ではなぜ、硫酸なのでしょう?
塩酸や硝酸といったその他の酸ではだめなのでしょうか?
・・・この疑問も、ほんの少し難しめの問題としてよく出題されています。
以前このブログの別のタイトルで
酸化還元反応においては必ず酸化剤となる物質、
また、必ず還元剤となる物質を紹介しました。
そこでも触れていますが、
ハロゲン化物イオンは強い酸化剤と出会うと自身は還元剤として働きます。
また、濃硝酸や希硝酸はどちらも酸化剤としても働きます。
しかし硫酸は、濃硫酸の状態で熱を加えると酸化剤として働きますが、
希硫酸の状態では酸として働くだけで酸化剤にはなりません。
つまり、酸化還元滴定の実験において
硫酸で酸性にせずに塩酸を用いて溶液を酸性にすると、
ビーカー内で過マンガン酸イオンを待ち受けている還元剤だけでなく、
塩酸自身も還元剤として反応してしまい、
過マンガン酸カリウム水溶液の滴定量がずれてしまうし、
硝酸だと、ビーカー内の還元剤に対して過マンガン酸イオン同様、
硝酸自身が酸化剤として働くために
やはり過マンガン酸カリウム水溶液の滴定量がずれてしまいます。
よって問題文の通り硫酸で酸性にしておくことが望ましい、というわけです。
沖縄では桜の木はほとんどが葉桜に変わっています。
このブログを書きはじめてから6度目のこの季節を迎えました。
文字ばかりのこんなブログを見てくださる皆さんに心から感謝しています。
これからも化学を必要とする受験生を応援するため、
少しでも力になれるように頑張っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
「硫酸酸性において・・・」という表現をよく目にします。
この表現について、予備校に来る生徒たちから
硫酸はなぜ必要なの?という質問が何度かありました。
今回は、この質問の答えを、
代表的な酸化剤である過マンガン酸カリウムKMnO4を
用いる酸化還元滴定を例にとって書いてみようと思います。
過マンガン酸カリウムは水溶液中でカリウムイオンK+と
過マンガン酸イオンMnO4-とを発生し、その過マンガン酸イオンの方が
酸化剤として働くわけですが、その半反応式は以下の通り。
MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O ・・・(酸性溶液中での反応式です。)
上記のように過マンガン酸イオンは酸化剤として相手を酸化するときに
自身の8倍もの量の水素イオンを必要とするので、
水溶液中の水素イオン濃度を高める、
つまり溶液を酸性にしておく必要があるのです。
例外もありますが、その他多くの酸化剤も同様で
酸性溶液中で反応を起こしやすくなっています。
ではなぜ、硫酸なのでしょう?
塩酸や硝酸といったその他の酸ではだめなのでしょうか?
・・・この疑問も、ほんの少し難しめの問題としてよく出題されています。
以前このブログの別のタイトルで
酸化還元反応においては必ず酸化剤となる物質、
また、必ず還元剤となる物質を紹介しました。
そこでも触れていますが、
ハロゲン化物イオンは強い酸化剤と出会うと自身は還元剤として働きます。
また、濃硝酸や希硝酸はどちらも酸化剤としても働きます。
しかし硫酸は、濃硫酸の状態で熱を加えると酸化剤として働きますが、
希硫酸の状態では酸として働くだけで酸化剤にはなりません。
つまり、酸化還元滴定の実験において
硫酸で酸性にせずに塩酸を用いて溶液を酸性にすると、
ビーカー内で過マンガン酸イオンを待ち受けている還元剤だけでなく、
塩酸自身も還元剤として反応してしまい、
過マンガン酸カリウム水溶液の滴定量がずれてしまうし、
硝酸だと、ビーカー内の還元剤に対して過マンガン酸イオン同様、
硝酸自身が酸化剤として働くために
やはり過マンガン酸カリウム水溶液の滴定量がずれてしまいます。
よって問題文の通り硫酸で酸性にしておくことが望ましい、というわけです。
沖縄では桜の木はほとんどが葉桜に変わっています。
このブログを書きはじめてから6度目のこの季節を迎えました。
文字ばかりのこんなブログを見てくださる皆さんに心から感謝しています。
これからも化学を必要とする受験生を応援するため、
少しでも力になれるように頑張っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
2017年03月07日
塩析と凝析の違いって・・・
コロイド溶液について学習しているときの生徒達とのやり取りで、
塩析と凝析の違いを聞いてみると、
「コロイド溶液に多量の電解質加えて、沈殿させる操作を塩析といい、
コロイド溶液に少量の電解質を加えて、沈殿させる操作を凝析という。」
と答える生徒が多いのですが、これでは正しい答えとは言えません。
「多量」・「少量」という語句に注意が行き過ぎてしまっているために
よく起こるミスですが、そこを気にしすぎると、
そもそも多量、少量、ってどのくらいの量なのかな・・・?
という疑問が生じてわかりにくくなってしまいます。
まず注意すべきはそこではなく、沈殿させるコロイドの種類です。
正しくは、
「親水コロイドに多量の電解質を加えて、沈殿させる操作を塩析といい、
疎水コロイドに少量の電解質を加えて、沈殿させる操作を凝析という。」
と答えるのが正解です。
ようするに親水コロイドが沈殿するまで電解質を加える操作が塩析、
疎水コロイドが沈殿するまで電解質を加える操作を凝析ということです。
比較すると一般に疎水コロイドを沈殿させるのに必要な電解質の量より
親水コロイドを沈殿させるのに必要な電解質の量が多いため
「多量」「少量」という表現が使われているに過ぎないのです。
ではなぜ一般に親水コロイドと疎水コロイドに対して
それぞれを沈殿するのに必要な電解質の量が異なるのでしょう。
コロイド粒子はその粒子表面に正や負の同種の電荷を帯びており、
その電荷の反発力で水中に分散しています。
ここで、親水コロイドはその表面に多数の水分子を水和させていますが
疎水コロイドの表面はほとんど水和していません。
よってコロイド溶液に電解質が混入されると
親水コロイドの場合は、
まずコロイド表面にある多数の水分子が電解質のイオンの方へと
引き付けられることでコロイド粒子から引きはがされ、
さらにコロイド表面の電荷と反対符号の電解質イオンが
コロイド表面に付着し、電荷が中和され、コロイド同士が反発力を失って
集まり、沈殿してしまいます。
一方、疎水コロイドは表面に水和している水分子がほとんどないため
加える電解質はコロイド表面の電荷を中和する量だけでよく、
親水コロイドに比べ、少量の電解質で済む、ということになります。
問題によっては「多量」「少量」の表示がない場合もありますから
教科書に掲載されている親水コロイドと疎水コロイドの例を
しっかりと覚えて、塩析・凝析どちらの用語を当てはめるのかを
判断してくださいね。
沖縄では暖かい日も次第に増えてきて短い冬の終わりが感じられます。
季節の変わり目ですから体調の管理に気を付けてくださいね。
それでは今回はこの辺で。頑張れ!受験生!
塩析と凝析の違いを聞いてみると、
「コロイド溶液に多量の電解質加えて、沈殿させる操作を塩析といい、
コロイド溶液に少量の電解質を加えて、沈殿させる操作を凝析という。」
と答える生徒が多いのですが、これでは正しい答えとは言えません。
「多量」・「少量」という語句に注意が行き過ぎてしまっているために
よく起こるミスですが、そこを気にしすぎると、
そもそも多量、少量、ってどのくらいの量なのかな・・・?
という疑問が生じてわかりにくくなってしまいます。
まず注意すべきはそこではなく、沈殿させるコロイドの種類です。
正しくは、
「親水コロイドに多量の電解質を加えて、沈殿させる操作を塩析といい、
疎水コロイドに少量の電解質を加えて、沈殿させる操作を凝析という。」
と答えるのが正解です。
ようするに親水コロイドが沈殿するまで電解質を加える操作が塩析、
疎水コロイドが沈殿するまで電解質を加える操作を凝析ということです。
比較すると一般に疎水コロイドを沈殿させるのに必要な電解質の量より
親水コロイドを沈殿させるのに必要な電解質の量が多いため
「多量」「少量」という表現が使われているに過ぎないのです。
ではなぜ一般に親水コロイドと疎水コロイドに対して
それぞれを沈殿するのに必要な電解質の量が異なるのでしょう。
コロイド粒子はその粒子表面に正や負の同種の電荷を帯びており、
その電荷の反発力で水中に分散しています。
ここで、親水コロイドはその表面に多数の水分子を水和させていますが
疎水コロイドの表面はほとんど水和していません。
よってコロイド溶液に電解質が混入されると
親水コロイドの場合は、
まずコロイド表面にある多数の水分子が電解質のイオンの方へと
引き付けられることでコロイド粒子から引きはがされ、
さらにコロイド表面の電荷と反対符号の電解質イオンが
コロイド表面に付着し、電荷が中和され、コロイド同士が反発力を失って
集まり、沈殿してしまいます。
一方、疎水コロイドは表面に水和している水分子がほとんどないため
加える電解質はコロイド表面の電荷を中和する量だけでよく、
親水コロイドに比べ、少量の電解質で済む、ということになります。
問題によっては「多量」「少量」の表示がない場合もありますから
教科書に掲載されている親水コロイドと疎水コロイドの例を
しっかりと覚えて、塩析・凝析どちらの用語を当てはめるのかを
判断してくださいね。
沖縄では暖かい日も次第に増えてきて短い冬の終わりが感じられます。
季節の変わり目ですから体調の管理に気を付けてくださいね。
それでは今回はこの辺で。頑張れ!受験生!
2017年02月23日
弱酸なのに計算に電離度が必要ない時があるのはなぜ?
酸・塩基・中和・塩の単元を学習している生徒たちから
「中和滴定の時、弱酸や弱塩基を用いても
計算時にその電離度を必要としないのはなぜ?」
という質問をよく受けます。
今回はこの質問について記載していこうと思います。
まずは強酸・強塩基などの強電解質と
弱酸や弱塩基などの弱電解質について
そのイメージから復習しましょう。
準備した酸や塩基がすべて溶液中で電離するのが
強酸や強塩基といった強電解質です。
それに対して弱酸や弱塩基などの弱電解質は、
準備した物質量のおよそ100分の1程度しか電離しません。
弱酸のイメージを酢酸を例に少し詳しく書いておくと・・・
酢酸分子は水溶液中で一部が酢酸イオンと水素イオンに電離します。
その反応式は可逆反応で以下のように記します。
CH3COOH ⇔ CH3COO‐+ H+ ・・・※
この時のイメージは準備した酢酸(分子)CH3COOHがその約100分の1 だけ
酢酸イオンCH3COO-と水素イオンH+に電離し、
そこで酢酸(分子)の電離がストップするわけではありません。
弱酸が電離する反応は可逆反応
(反応式の右方向へも左方向へも反応が起こる)であり、
酢酸分子の電離する正反応(上記可逆反応の右への反応)が
どんどん進行している最中、発生した酢酸イオンが水素イオンと結合して
酢酸(分子)へと戻る逆反応(上記可逆反応の左への反応)が
それ以上のスピードで進行してくるため、
酢酸の物質量に対して酢酸イオン(水素イオン)の物質量が
常に100分の1程度に抑えられているということです。
この100分の1というのが電離度に相当します。
ですから酢酸の水溶液だけを準備し、その溶液のpHを求めるとなれば、
準備した酢酸としてのモル濃度に電離度をかけて
その時発生している水素イオンの濃度を求めるということになりますから、
その計算には酢酸の濃度に電離度をかけるということが必要です。
しかし、反応相手のいる中和滴定となれば話は違います。
確かに酢酸は弱酸であり、その時々において
発生している水素イオンは少ないですが、
水酸化ナトリウム水溶液などの塩基が入ってくると、
その塩基との中和反応が起こることになります。
つまり発生していた水素イオンは、
水酸化物イオンと結合(中和反応)して水分子になるということす。
すると※式の逆反応(左向きの反応)は水素イオンを失ったため
うまく進行しなくなります。
逆反応には水素イオンも必要ですから、
酢酸イオンだけでは酢酸に戻れない、ということですね。
ですが正反応(右向きの反応)はどんどん起こり続けるので、
新たに水素イオンを発生し、
その水素イオンは中和反応に消費されて水分子に変化していく・・・。
結果としてすべての酢酸分子から水素イオンは電離して
中和反応に消費されてしまうというわけです。
まとめると、
準備した酸や塩基そのものの水素イオン濃度や水酸化物イオン濃度を
求めるならば、その準備した酸(や塩基)のモル濃度に
電離度をかける必要がありますが、
中和滴定においては結局、準備した酸(や塩基)そのものの中に存在する
すべての水素イオン(水酸化物イオン)が中和反応に
使われることになるので電離度をかける必要はないということになります。
しかしここまでの話だと、
「水素イオンは酢酸イオンより水酸化物イオンと結合しやすい」
ということになりますね。・・・ではなぜ?と新たな疑問がでてきます。
その理由は電離定数やイオン積の話になりますが、
センター試験に向けてであれば
まずは今回の内容を理解することでOKだと思います。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ!受験生!!
「中和滴定の時、弱酸や弱塩基を用いても
計算時にその電離度を必要としないのはなぜ?」
という質問をよく受けます。
今回はこの質問について記載していこうと思います。
まずは強酸・強塩基などの強電解質と
弱酸や弱塩基などの弱電解質について
そのイメージから復習しましょう。
準備した酸や塩基がすべて溶液中で電離するのが
強酸や強塩基といった強電解質です。
それに対して弱酸や弱塩基などの弱電解質は、
準備した物質量のおよそ100分の1程度しか電離しません。
弱酸のイメージを酢酸を例に少し詳しく書いておくと・・・
酢酸分子は水溶液中で一部が酢酸イオンと水素イオンに電離します。
その反応式は可逆反応で以下のように記します。
CH3COOH ⇔ CH3COO‐+ H+ ・・・※
この時のイメージは準備した酢酸(分子)CH3COOHがその約100分の1 だけ
酢酸イオンCH3COO-と水素イオンH+に電離し、
そこで酢酸(分子)の電離がストップするわけではありません。
弱酸が電離する反応は可逆反応
(反応式の右方向へも左方向へも反応が起こる)であり、
酢酸分子の電離する正反応(上記可逆反応の右への反応)が
どんどん進行している最中、発生した酢酸イオンが水素イオンと結合して
酢酸(分子)へと戻る逆反応(上記可逆反応の左への反応)が
それ以上のスピードで進行してくるため、
酢酸の物質量に対して酢酸イオン(水素イオン)の物質量が
常に100分の1程度に抑えられているということです。
この100分の1というのが電離度に相当します。
ですから酢酸の水溶液だけを準備し、その溶液のpHを求めるとなれば、
準備した酢酸としてのモル濃度に電離度をかけて
その時発生している水素イオンの濃度を求めるということになりますから、
その計算には酢酸の濃度に電離度をかけるということが必要です。
しかし、反応相手のいる中和滴定となれば話は違います。
確かに酢酸は弱酸であり、その時々において
発生している水素イオンは少ないですが、
水酸化ナトリウム水溶液などの塩基が入ってくると、
その塩基との中和反応が起こることになります。
つまり発生していた水素イオンは、
水酸化物イオンと結合(中和反応)して水分子になるということす。
すると※式の逆反応(左向きの反応)は水素イオンを失ったため
うまく進行しなくなります。
逆反応には水素イオンも必要ですから、
酢酸イオンだけでは酢酸に戻れない、ということですね。
ですが正反応(右向きの反応)はどんどん起こり続けるので、
新たに水素イオンを発生し、
その水素イオンは中和反応に消費されて水分子に変化していく・・・。
結果としてすべての酢酸分子から水素イオンは電離して
中和反応に消費されてしまうというわけです。
まとめると、
準備した酸や塩基そのものの水素イオン濃度や水酸化物イオン濃度を
求めるならば、その準備した酸(や塩基)のモル濃度に
電離度をかける必要がありますが、
中和滴定においては結局、準備した酸(や塩基)そのものの中に存在する
すべての水素イオン(水酸化物イオン)が中和反応に
使われることになるので電離度をかける必要はないということになります。
しかしここまでの話だと、
「水素イオンは酢酸イオンより水酸化物イオンと結合しやすい」
ということになりますね。・・・ではなぜ?と新たな疑問がでてきます。
その理由は電離定数やイオン積の話になりますが、
センター試験に向けてであれば
まずは今回の内容を理解することでOKだと思います。
それでは今回はこの辺で。
頑張れ!受験生!!
2017年01月13日
センター試験がんばって!
今年もセンター試験がやってきました。
毎年同じようなことしか言えませんが
これまでの学習してきた自分に自信を持って頑張ってきてください。
できる限り時間を使い、解ける問題は確実に得点につなげましょう。
難問に出会ったら時間を割きすぎずに捨てる勇気も時には必要!
自分だけができないことはない、みんな難しいと思って緊張しているんです。
深呼吸して、リラックス。プラス思考で試験に臨んでくださいね。
頑張れ、受験生! 応援しています!!
毎年同じようなことしか言えませんが
これまでの学習してきた自分に自信を持って頑張ってきてください。
できる限り時間を使い、解ける問題は確実に得点につなげましょう。
難問に出会ったら時間を割きすぎずに捨てる勇気も時には必要!
自分だけができないことはない、みんな難しいと思って緊張しているんです。
深呼吸して、リラックス。プラス思考で試験に臨んでくださいね。
頑張れ、受験生! 応援しています!!
2017年01月08日
酸化還元反応において必ず酸化剤・還元剤となる物質
以前「酸化還元反応を見分けるコツ」というタイトルで
酸化還元反応についてまとめましたが、
今回はそれにつけ足したいと思っていた
酸化剤と還元剤についてのポイントを掲載しようと思います。
高校化学の教科書や参考書では
「反応相手によって酸化剤にも還元剤にもなり得る物質」
の代表例として、「過酸化水素H2O2」と「二酸化硫黄SO2」が
紹介されています。
どちらもより強い酸化剤と反応するときは自身が還元剤として働き、
より強い還元剤と反応するときは自身が酸化剤として働きます。
例えば硫酸酸性中において
過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水との反応は
2KMnO4+ 5H2O2+ 3H2SO4 →
2MnSO4+5O2+8H2O+ K2SO4 ・・・①
という化学反応式であり、この場合は過酸化水素が還元剤として働いています。
KMnO4とH2O2のどちらが酸化剤か、還元剤化を確かめる方法は、
反応前、KMnO4中のMnの酸化数が+7、
反応後のMnSO4中のMnの酸化数が+2となっていることから
KMnO4が酸化剤(自身は還元されている。)とわかり、
相手となるH2O2中のO原子の酸化数が‐1、
反応後のO2中のO原子の酸化数が0となっていることから
H2O2が還元剤(自身は酸化されている。)とわかります。
実際には両方確認しなくても、どちらかの物質が酸化剤として働いている
とわかれば、もう一方は還元剤であるとわかりますね。
また硫酸酸性中において
ヨウ化カリウム水溶液と過酸化水素水が反応するときは
H2O2+ H2SO4+ 2KI→ I2+ 2H2O+ K2SO4…②
という化学反応式であり、
この場合は過酸化水素が酸化剤として働いています。
確かめ方はKI中のI原子の酸化数が‐1、
反応後のI2中のI原子の酸化数が0となっていることから
KIが還元剤(自身が酸化されている。)、
H2O2中のO原子の酸化数が‐1、
反応後のH2O中のO原子の酸化数が‐2となっていることから
H2O2が酸化剤(自身が還元されている。)とわかります。
(※上記①や②の反応式そのものの書き方で悩んでいる生徒は
まず教科書に戻って復習してみてください。
それでもうまくイメージがつかめないなら
私のDVD教材「センター(基)シリーズ「酸化還元」」を
ご利用していただけると幸いです。
さて、ここで本題。
H2O2やSO2が酸化剤にも還元剤にもなることはわかりましたが、
センター試験では「相手によって酸化剤にも還元剤にもなる物質を選びなさい。」
という問われ方だけではありません。
複数の酸化還元反応の化学反応式を並べて、その反応式中のある物質について、
「下線を引いた物質が酸化剤(もしくは還元剤)として働いている反応を選びなさい。」
という問題の作り方も多いです。
そういう時はH2O2やSO2に下線がついていると、
「この物質は相手によって酸化剤にも還元剤にもなり得るんだよな。」
とわかっていても、結局は反応前後の酸化数の増減を確認して
答えを判断するしかないな、と思った人が多いでしょう。
そこで今回、センター試験で使えるまとめ方をしてみましょう!
どうまとめておくかというと・・・
「酸化還元反応を起こすときには、必ず酸化剤になる物質、
もしくは必ず還元剤になる物質」の方を逆に覚えちゃえばよい!
というまとめ方です。
つまりH2O2やSO2の相手を見て、それが必ず酸化剤となる物質ならその場合H2O2やSO2が還元剤、
もちろんその逆もわかるということです。
覚えることが増えるので嫌だという人もいるかもしれませんが、
センター試験対策としては、それほどたくさんの物質を覚えなくても十分です。
それでは以下にまとめておきます。
酸化還元反応において必ず酸化剤として働く物質の代表例は…
過マンガン酸カリウムKMnO4 クロム酸カリウムK2Cr2O7
濃硝酸・希硝酸HNO3 熱濃H2SO4 オゾンO3 ハロゲンの単体
・・・などです。
これらを反応式の中に見つけたら、その反応相手が還元剤ということです。
また酸化還元反応において必ず還元剤として働く物質の代表例は…
硫化水素H2S シュウ酸(COOH)2
塩化スズ(Ⅱ)SnCl2 硫酸鉄(Ⅱ)FeSO4 ハロゲン化物イオン
・・・などです。
これらを反応式の中に見つけたら、その反応相手が酸化剤ってことですね。
さあ、センター試験まであとわずか。
難しいことはやらずに広い範囲を丁寧に復習して
これまでの学習をさらに自分の中に定着させてください。
手洗いうがいも忘れずに!頑張れ受験生!!
酸化還元反応についてまとめましたが、
今回はそれにつけ足したいと思っていた
酸化剤と還元剤についてのポイントを掲載しようと思います。
高校化学の教科書や参考書では
「反応相手によって酸化剤にも還元剤にもなり得る物質」
の代表例として、「過酸化水素H2O2」と「二酸化硫黄SO2」が
紹介されています。
どちらもより強い酸化剤と反応するときは自身が還元剤として働き、
より強い還元剤と反応するときは自身が酸化剤として働きます。
例えば硫酸酸性中において
過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水との反応は
2KMnO4+ 5H2O2+ 3H2SO4 →
2MnSO4+5O2+8H2O+ K2SO4 ・・・①
という化学反応式であり、この場合は過酸化水素が還元剤として働いています。
KMnO4とH2O2のどちらが酸化剤か、還元剤化を確かめる方法は、
反応前、KMnO4中のMnの酸化数が+7、
反応後のMnSO4中のMnの酸化数が+2となっていることから
KMnO4が酸化剤(自身は還元されている。)とわかり、
相手となるH2O2中のO原子の酸化数が‐1、
反応後のO2中のO原子の酸化数が0となっていることから
H2O2が還元剤(自身は酸化されている。)とわかります。
実際には両方確認しなくても、どちらかの物質が酸化剤として働いている
とわかれば、もう一方は還元剤であるとわかりますね。
また硫酸酸性中において
ヨウ化カリウム水溶液と過酸化水素水が反応するときは
H2O2+ H2SO4+ 2KI→ I2+ 2H2O+ K2SO4…②
という化学反応式であり、
この場合は過酸化水素が酸化剤として働いています。
確かめ方はKI中のI原子の酸化数が‐1、
反応後のI2中のI原子の酸化数が0となっていることから
KIが還元剤(自身が酸化されている。)、
H2O2中のO原子の酸化数が‐1、
反応後のH2O中のO原子の酸化数が‐2となっていることから
H2O2が酸化剤(自身が還元されている。)とわかります。
(※上記①や②の反応式そのものの書き方で悩んでいる生徒は
まず教科書に戻って復習してみてください。
それでもうまくイメージがつかめないなら
私のDVD教材「センター(基)シリーズ「酸化還元」」を
ご利用していただけると幸いです。
さて、ここで本題。
H2O2やSO2が酸化剤にも還元剤にもなることはわかりましたが、
センター試験では「相手によって酸化剤にも還元剤にもなる物質を選びなさい。」
という問われ方だけではありません。
複数の酸化還元反応の化学反応式を並べて、その反応式中のある物質について、
「下線を引いた物質が酸化剤(もしくは還元剤)として働いている反応を選びなさい。」
という問題の作り方も多いです。
そういう時はH2O2やSO2に下線がついていると、
「この物質は相手によって酸化剤にも還元剤にもなり得るんだよな。」
とわかっていても、結局は反応前後の酸化数の増減を確認して
答えを判断するしかないな、と思った人が多いでしょう。
そこで今回、センター試験で使えるまとめ方をしてみましょう!
どうまとめておくかというと・・・
「酸化還元反応を起こすときには、必ず酸化剤になる物質、
もしくは必ず還元剤になる物質」の方を逆に覚えちゃえばよい!
というまとめ方です。
つまりH2O2やSO2の相手を見て、それが必ず酸化剤となる物質ならその場合H2O2やSO2が還元剤、
もちろんその逆もわかるということです。
覚えることが増えるので嫌だという人もいるかもしれませんが、
センター試験対策としては、それほどたくさんの物質を覚えなくても十分です。
それでは以下にまとめておきます。
酸化還元反応において必ず酸化剤として働く物質の代表例は…
過マンガン酸カリウムKMnO4 クロム酸カリウムK2Cr2O7
濃硝酸・希硝酸HNO3 熱濃H2SO4 オゾンO3 ハロゲンの単体
・・・などです。
これらを反応式の中に見つけたら、その反応相手が還元剤ということです。
また酸化還元反応において必ず還元剤として働く物質の代表例は…
硫化水素H2S シュウ酸(COOH)2
塩化スズ(Ⅱ)SnCl2 硫酸鉄(Ⅱ)FeSO4 ハロゲン化物イオン
・・・などです。
これらを反応式の中に見つけたら、その反応相手が酸化剤ってことですね。
さあ、センター試験まであとわずか。
難しいことはやらずに広い範囲を丁寧に復習して
これまでの学習をさらに自分の中に定着させてください。
手洗いうがいも忘れずに!頑張れ受験生!!